東京農工大学

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農作物の「斉一性」向上を実現して、生産者をサポートしたい! 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 野菜花き研究部門 露地野菜システム研究領域 露地野菜花き生産技術グループ 研究員 杉浦 妃奈子さん 東京農工大学大学院農学府 農学専攻生物生産科学コース修了

現在のお仕事

茨城県つくば市にある農研機構の野菜花き研究部門に勤務しています。2022年4月に入構して、同年10月から現在の露地野菜花き生産技術グループに所属しています。

具体的な業務としては、露地野菜の生産技術向上につながる研究や生産を予測する技術開発などを行っています。研究対象はブロッコリーで、週2回、敷地内の圃場ほじょうに出て、どの段階でどれだけ育つか、いつどのくらい収穫できるかといった定量調査を行っています。最近は、ドローンを使って撮影したデータを解析するような研究もしています。

研究目標は、「斉一性せいいつせい」を向上させることです。これは、作物の開花や収穫時期を揃えて栽培することを目指すものです。例えば、ブロッコリーであれば、可食部分である「花蕾からい」の大きさを揃えることで、機械での一斉収穫が可能になります。生産性を向上させることで、人不足に悩む生産者をサポートできます。

この仕事の面白さは、現場に近い研究ができることです。私はもともと圃場に出て、手を動かす研究をするのが好きだったので、今の職場は自分に合っています。現在も研究者として、学会発表や論文執筆に向けて研究に取り組んでいます。農研機構に勤務しながら、論文を書いて、博士号を取得する先輩もいます。ちなみに、全国の農研機構には、東京農工大学の卒業生が数多く勤務しています。

農工大での研究活動

在学中は、農学部生物生産学科で学び、修士課程まで「植物栄養学研究室」で、植物栄養生理、土壌や肥料の研究に従事しました。私の研究テーマは、作物の生育に深く関与する土壌中のリンを有効利用することです。ダイズに肥料として硫黄を与えて、土壌中のリンの形態変化を観察しました。土壌中のリンは難溶性なのですが、一定量の硫黄を与えることで、作物が吸収しやすくなることがわかりました。この研究論文で日本土壌肥料学会のSSPN AWARDという論文賞をいただくことができ、大きな自信になりました。

将来の目標・夢

今後の目標は、自分の研究成果を現場の生産性向上に役立てることです。まずは、「斉一性」のテーマを究めて、幅広い露地野菜の栽培をコントロールできる技術を確立したいと思っています。

※国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構

・掲載内容は、2023年11月取材時のものです。