東京農工大学

受験生の皆様

研究TOPICS

コラーゲンの効果を解明し、機能性食品に応用 農学部 応用生物科学科 応用蛋白質化学研究室

機能性食品や化粧品として利用されている「コラーゲン」の研究をしています。コラーゲンは動物の体を構成する主要なタンパク質。「食べれば肌が潤う」とされるコラーゲンをモデル動物に投与し、骨や皮膚への有効性を明らかにしています。特に注目しているのが、「食べて効果を示すメカニズム」の解明です。「コラーゲンを食べても肌に効果はないのでは?」という議論もあります。当研究室の見解はこうです。結論から言うと、コラーゲンを口から入れても皮膚にコラーゲンのまま吸収されることはありません。コラーゲンは、体内の酵素でアミノ酸だけでなく、ペプチドで吸収されます。これらが皮膚の細胞を活性化し、組織内のコラーゲン・ヒアルロン酸の産生量を増加させることがわかりました。つまり、食べたコラーゲンは、体内で別のコラーゲンを再合成する手助けをしているのです。

研究室では、こうした体内のメカニズムを分子レベルで解明するだけでなく、コラーゲンを機能性食品として応用する研究も行っています。コラーゲンは、皮膚だけでなく、骨にとっても重要な成分です。コラーゲンが骨の柔軟性を高め、骨折を防ぐことで骨粗しょう症の予防にも役立ちます。

製品化されるコラーゲンの原材料は、ウシやブタの骨や皮が主流でしたが、ウシ、ブタ、サメをはじめとしたあらゆる動物からコラーゲンを精製する研究も行っています。原材料から成分を精製し、製品化するまですべての工程を経験できるのが当研究室の強みでしょう。食品・医薬品メーカーとの共同研究も盛んで、同業界へ就職する学生も数多くいます。

皮膚の水分量を測定中。研究室では、多くの女子学生が活躍している
野村 義宏 教授

農学部
硬蛋白質利用研究施設
野村 義宏 教授

東京農工大学大学院連合農学研究科博士課程修了。農学博士。
研究分野は、生物資源科学、畜産学、医用生体工学・生体材料学ほか。

Student's Voice

柿田 ひとみさん

大学院農学府 応用生命化学専攻 修士2年
柿田 ひとみさん

長崎県立長崎西高校出身
ラクトフェリンという乳蛋白質が光による皮膚の老化を改善する効果を研究しています。在学中に企業との共同研究も経験。この成果が評価され乳業メーカーへの就職が決まりました。

上濱 春佳さん

大学院農学府 応用生命化学専攻 修士2年
上濱 春佳さん

私立鷗友学園女子高校出身
プロテオグリカンという糖蛋白質が変形性膝関節症を改善する効果を調べています。就職予定の食品メーカーでは、研究室で鍛えた実験スキルを商品開発の仕事に活かしたいです。

丸山 拓馬さん

大学院農学府 応用生命化学専攻 修士1年
丸山 拓馬さん

私立芝高校出身
研究テーマは、変形性膝関節症の原因解明です。膝関節内の環境を試験管内に再現し、加圧実験などを行って、炎症の原因を探ります。医療分野で役立つ研究にやりがいを感じています。

※掲載内容は、2016年11月取材時のものです。