活躍する卒業生
現在のお仕事
鹿島建設の土質・地盤グループで、防災や減災のための調査・研究を行っています。対象は、地面や地下だけでなく、斜面、河川など多岐に渡ります。鹿島建設が工事を担うトンネルや道路、橋梁、河川堤防などのインフラの安全を維持するためのあらゆる対策を講じます。
なかでも私は、河川案件を担当することが多く、先日も山口県の河川堤防にセンサーを設置して、モニタリング調査を行ってきました。担当する現場は、まさに全国で、毎月東京から他県への出張がある生活です。農学部出身ですが、土木工学の領域に近い仕事をしていることになりますね。
農工大での研究活動
社会インフラを支える仕事に興味を持ったのは、高校時代のことです。ダムや水路などの水利施設に興味があり、資料を調べるうちに「農業土木」という研究分野を知りました。一方、もともと大阪の川沿いの地域で育ったこともあり、河川の生態系や水質汚染の問題にも関心がありました。農業土木、水利用、生態系……こうしたキーワードで進学先を調べ、東京農工大学農学部地域生態システム学科にたどり着きました。
在学中は、「環境地盤研究室」で、「フィルダム」と呼ばれる土でつくったダムの耐震性を調べる研究に取り組んでいました。研究室で印象に残っているのは、つくばにある農研機構※の装置を利用して、遠心載荷模型実験を行ったことです。幅約1mのフィルダムの模型をつくり、地震波を与えて、どう崩れるかを観察しました。国立の研究機関で、社会人と一緒に本格的な実験を経験できたことは、今の仕事で本当に役立っています。
将来の目標・夢
現在は、研究員として年間5本ペースで研究論文を発表しており、来年(2023年)はロンドンでの国際学会にも参加する予定です。「土」というのは、調べれば調べるほど謎が多く、数式では表せない現象がまだまだあります。研究者として、これからも「土」の謎を追究していくつもりです。
この仕事における私のミッションは、誰もが安心して暮らせる国土を守るための防災・減災の施策立案に貢献することです。自然災害が増加傾向にある現在の日本において、大きな意義のある仕事だと自負しています。
※国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機
※掲載内容は、2022年11月取材時のものです。