研究室ブログ

東京農工大学 鈴木研究室のブログです。

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2017年8月31日 先輩たちからのメッセージ       渡井×関谷

先輩たちからのメッセージVol.13を公開しました。

修士1年 M1 渡井和央
-インタビュアー 関谷允志-

-先輩達からのメッセージ 2017、最初は渡井和央さんにお話をうかがいます。-

-お忙しいところ、お時間をいただきありがとうございます。

今回は渡井さんの研究生活や経験談をもとに、3年生へ向けたメッセージをお聞きしたいと思います。

まずは渡井さんの研究内容についてうかがわせてください。-

こんにちは、修士1年の渡井です。

私は、テラヘルツ波帯(0.1〜10 THz)における
材料の作製からデバイスの実現に取り組んでいます。

私の野望は、「テラヘルツ波」を誰もが使える身近な技術にすることです。

その一つとして、スマートデバイスなどの高速データ通信に使用できる
テラヘルツ波帯デバイスを実現したいです。
具体的には、電磁波を自由自在に制御するために、下図のように従来よりも
薄型かつ透明なメタマテリアルを用いたアンテナと光源を一体化する予定です。

テラヘルツ波は、超高速無線通信技術や
X線に代わる被爆の危険のないイメージング技術への応用が期待されています。

しかし、テラヘルツ波はミリ波や可視光などの他の周波数帯と比較して、
使いやすく低損失な材料が限られているため、
電磁波を制御する光学素子を小型に設計することは非常に困難です。

テラヘルツ波を発振、受信するデバイスに用いるアンテナは、
自然界由来の高屈折率材料(Si:3.4, MgO:3.1)が用いられていますが、
波長に対してとても厚いことと反射が大きいといった問題があります。

例えば、低反射かつ10を超えた高屈折率材料、
ゼロ屈折率材料や負の屈折率材料は身近で聞いたことありませんよね?

そこで、私はテラヘルツ波帯の産業応用化に向けて、
「メタマテリアル」を活用し今までにない新たな低損失な材料を創り出しました。

メタマテリアルとは、電磁波の波長より小さな構造(メタアトム)により
自然界にはない電磁特性(屈折率、誘電率、透磁率)を、
任意に設計できる人工構造体です。

私はこれまでにメタマテリアルのメタアトムのパラメータ制御のみで、
容易に、同一周波数帯で幅広い屈折率を低反射で実現しました。

具体的には、同一周波数帯で10を超える非常に高い屈折率材料や
0に近い屈折率材料や負の屈折率材料など
今まで自然界にはなかった材料特性を容易に創り出すことができるのです。

-なるほど、自然界にはない物質特性を創り出せるのは、まるで錬金術師みたいですね。ところで渡井さんは既に国内学会、国際会議での発表を経験されているそうですが学会を通して感じたことなどを教えてください。-

錬金術師は大げさですけどね。(笑)

学会を通して感じたことですか。

私は3月に横浜で行われた応用物理学会
8月にサンディエゴで行われたIEEE APS/URSI 2017にて研究成果を口頭発表しました。

初めての学会発表だったのでとても緊張しましたが、
様々な研究者の方々との交流を楽しむことができました。

発表の様子はこちらをご覧ください。

際会議に参加する意義は、 世界を知れることです。

私は、小・中学校時代と大学生時代には、
ソフトテニスの全国大会に出場したことがあるんですよ。

学会発表は大会と同じですね。正確に言うなら全国大会です。

世界のトップレベルの研究者に会え、議論できることはとても貴重な経験です。

スポーツと同じくプロに会うと自分がどのレベルなのかどの位置にいるのかが分かります。
一度トップレベルの研究者たちに会うと研究(練習)の進め方が変わってきます。

国際会議(大会)に参加することで、参加自体が目的ではなく、
世界と戦うためにはどうすればいいかと視点を変えることができます。

世界を知り、こういった視点を持てることは、大きな強みだと思います。

また学会発表する過程で先生、先輩、同期のサポートはとても心強く、
一人ではなく団体戦で戦えるのは鈴木研の強みだと感じました。

もちろん、個人の頑張りがなければ、
大会に出られるレギュラーにはなりませんけどね。(笑)

学会発表終了後は、もちろん地域の観光をしたり、美味しいものを食べたりします。

この時の様子は7月のブログにも載せています。

 

-ありがとうございます。次に渡井さんの将来の目標を教えてください。-

私は失敗を恐れず挑戦し、社会で活躍できる人間になりたいです。

これは、日立製作所名誉相談役 庄山様との懇談会を通して、
自分が仕事をしていく上で最も身につける必要があると痛感したからです。

私は研究を通して、安定志向でリスクをとらない無難な選択をすると後々失敗し、
反対に失敗を恐れずリスクが伴う選択をしたほうが後々成功することを学びました。

研究室にいる期間で多くのことを吸収し、様々なことに挑戦し、
社会で活躍できる一流の人材になれるよう自分を磨いてます。

- ありがとうございました。それでは、最後の質問になります。
渡井さんが新しい仲間に期待することは何ですか?-

積極的に挑戦することです。

研究はわからないことが当たり前の世界です。
だからこそわからないことを恥だと思わず、
諦めず何度も挑戦できる人が成功できると思います。

チャンスは何度もありません。
チャンスを逃して後々、後悔することがないように、
一見無意味に思えることでも、積極的に取り組んで欲しいです。


高い目標を持ち、自分で人生を切り開こうとしている仲間を待っています。
お互いに切磋琢磨し、充実した研究室生活を送りましょう!

渡井 和央
1995年静岡県生まれ。小学2年生からソフトテニスを始め、大学3年まで部活を継続。小・中学校時代と大学生時代には、ソフトテニスの全国大会出場を果たした。2016年4月に鈴木研究室に配属。テラヘルツ波帯電磁メタマテリアルの研究に従事。現在、学会発表した内容を推敲し、論文化を目指している。部活を引退し、体重が増量中。