研究取り組み

研究取り組み
日常生活における安全・安心感・楽しさを増強する計算機環境の実現」と題して,人工物の知的化・付加価値付与のガイドラインを示すことと,人工物自身の開発とアプリケーション開発を支援するための技術開発を長期目的とします.このようなアプリケーション実現のためには,ユーザが置かれている状況(コンテクスト)を反映したシステムの振る舞いが必要となり,Context-Awarenessというキーワードで研究が盛んです.コンテクストと呼ばれる情報のうち重要な意味を持つ,行動情報は身体の運動や動作と,物体または周辺環境との相互作用により起こることから,人・モノ・環境の状態をセンシングすることが重要となります.
本研究室では,身近に存在する人工物にセンサを付加することで,通常の使用を通した自然なコンテクストセンシングを目指しています.具体的には,人工物を環境(床・壁など),道具(イス,ドアなど),身体装着物(ベルト,時計など),ユーザ端末(携帯電話など)に分類し,これら単体からの状態取得方式,ならびに協調による精度向上方式,情報の問い合わせ,状態管理に関する研究を行っています.本アプローチは,単に状態取得を自然に行うということだけでなく,アプリケーションに応じたセンシング機能(人工物)を随時追加することを可能とするもので,従来のような建築空間を設計・施工する段階からセンシングを意識することなく柔軟で安価なアプリケーション実現を可能とするものとして期待されます.
また,道具の例外的な使用や身体装着物の想定外の場所への装着を検出し,アプリケーションが依存する情報に信頼性を与える技術についても研究しています.
さらに,人の行動に影響を与えるインタフェースとして,健康増進意欲の向上と継続や実験中の安全教育,自転車の安全運転,水や電気などの資源の無駄を意識させることによる省資源行動の強化,単純作業や面倒な作業の着手や持続を可能にするための情報提示技術を研究しています.情報提示にあたっては,最適なコンテンツを最適なタイミング,場所,モダリティで提供するために,システムが利用者の状況を知る必要があり,上述のようなセンシングが利用されています.
人の意思決定に影響を与えるインタフェース
ヘッドフォン難聴予防のための聴取量計測手法とコンピュータによる説得手法(2016-)
タンジブルアバタによる緩やかなコミュ池-ション実現(2016-)
INCA:人々の省資源行動の強化を目指したインタラクティブシステム(2010-2012, 2013-2014)
仮想ペットへの愛情を利用した困難タスク着手・持続支援(2011)
実世界と仮想世界を往来するペットロボットに関する研究(2015)
ost4ce:化学実験非熟練者の安全技能を向上するスマート実験室に関する研究(2009-2011, 2012-2014, 2015-2017)
ClassifyingBox:単調作業時に対する意欲増進に関する研究(2009-2010)
PuzzleBox:パズルメタファを用いた“使い終わったら戻す”習慣づけ (2008)
pMirror:生活習慣病予防のための情報提供メディアに関する研究 (2008-2009)
AwareMirror:コンテクストアウェアな鏡(2004-2007)
既存の作業・行為の拡張とその基盤技術
集団活動時の楽しい振り返りを支援する身体装着型カメラによる体験自動記録に関する研究(2015-)
漏れ全反射方式(FTIR)を用いた接触形状取得方法に関する研究(2014-)
紙媒体による卓上作業の効率向上を目的とした情報投映に関する研究(2014)
イルミネーションパターンの自由な設定を可能とする入力装置に関する研究(2014-2016)
初心者のためのアイロンがけ支援システム(2012-2014)
ネイルアートにおける微小領域彩色支援(2013)
プロジェクタ・カメラシステムによる既存のトランプゲームの拡張(2011-2013)
テーブルゲームにおける局面を考慮したコミュニケーション促進(2013)
自転車安全運転支援システム (2010-2012)
説得力のあるプレゼンテーション支援のための頭部および胴体方向の計測(2011)
読書体験を豊かにするための基礎技術開発 (2007-2009)
モバイルHCI・行動認識
眼鏡型デバイスによる咀嚼状態認識(2016)
安定把持のための背面形状変化型スマートフォンに関する研究(2016-)
手首全周型ディスプレイのための最適視認位置自動決定に関する研究(2015-)
公共交通機関利用時の誤り乗車の推定に関する研究(2014-2016)
ウェアラブルプロジェクタによる歩行時投影安定化(2010-2012)
歩行中の不安全な携帯端末利用状態の検出(2013-2016)
安全点検支援のための指さし呼称動作の認識(2011-2013)
Sparse Representationと圧縮センシングによる個人依存性が低いジェスチャ認識(2013)
参加型センシング
参加型センシングによる運動推奨経路情報収集に関する研究(2014)
歩行時の回避行動に着目した歩道の路面状態識別に関する研究(2014-2016)
精度と消費電力を考慮したデータ収集手法(2012-2013)
TALESEA:Android端末用汎用IOモジュール(2012)
高密度降雨センシングのための知的傘(2011)
大規模なデータ収集を通じた判定性能の高度化(2015-)
格納場所判定技術とAndroid携帯電話への基盤ソフトウェアとしての実装(2007-2012)
携帯電話への着信通知方の格納場所に応じた変更(2011)
格納場所による計測値の違いを意識した高信頼な熱中症警告計(2010-2013)
格納場所を意識した高精度・高信頼な行動認識(2012-)
機械学習のためのラベル付けデータ作成支援に関する研究(2015-)
日常物の拡張のための基盤技術
多様な情報通知装置混在環境下のコンテキストアウェアな通知先選定手法(2016-)
異種センサを設置したイスによる着座者と他者との関係抽出に関する研究(2014-2016)
Kuka/Aha!:刹那的な人とモノ,モノとモノの関連づけ (2006-2008)
Tonttu:無線センサプラットフォーム (2007)
Sentient Artefact:知的人工物によるコンテクストの自然な取得 (2003-2007))
Bazaar:物理空間情報の管理機構 (2003-2004)
BASE:現場指向の開発ツール (2004)
Cookie:ウェアラブルセンサ (2005-2006)
↑研究紹介リーフレット2014年版
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