擬人化キャラクタによる実験最中の教示
擬人化キャラクタによる実験最中の教示
EdChemy(2009-)
Ver. 1.0:稲川暢浩,金春善,川上賢太,西條洸介,向恭平,侯明偉,薛媛,宗官祥史,橋本祥吾,藤波香織
Ver. 2.0: 稲川暢浩,西條洸介,藤波香織
本プロジェクトは,作業状態にあわせた情報提示による教示効果促進システムの一つとして,大学サイエンスフェスタ2009での展示に向けて研究室全員で設計・開発・製作したものです.
小学校高学年〜高等学校の児童・生徒を対象に化学の実験中に使用する物質の性質や化学反応の説明を対象物の近くに,実験の最中に教示します.これにより,教示と学習のタイミングが近づき,身体動作も伴うことで記憶効果が増大することを狙っています.さらに,教示情報は文字情報を中心とするのではなく,物質個々をその性質を表現しつつ擬人化し「自己紹介」を行うように説明することで,親しみやすさと視覚面からの記憶効果を狙っています.安全な実験を行ううえで注意すべき性質を自己紹介に交えることで,安全教育に応用することも可能です.
システムは,物質や実験器具の使用状況や位置の検出と,教示タイミングの判定,対象物付近への情報提示を主機能としています.物質や実験器具の使用状況や位置検出は,展示環境における検出の容易さからビジュアルマーカー方式を採用しARToolkitにより行いました.また,対象物付近への情報提示は検出したマーカーの付近へプロジェクタから机上投写することで実現しています.マーカーの位置を常にトラッキングしているのでビーカーを動かしても常に近くに表示されます.
教示タイミング決定は,使用状況や物体位置検出に用いるセンサとは独立し,抽象化されたイベントを用いて行っているため,将来的にマーカーレスな物体・位置検出技術を最小限の開発のみで導入することが可能になります.またタイミング決定部はXMLを用いて記述するので「実験手順書」を編集する間隔で新たなコンテンツを作成することが可能です.
実際の実験中にリアルタイムに教示を行う以外にも,塾などで液体や物質を用いずマーカーベースでシミュレートすることで内容の理解が促進されることも期待されます.
本研究は一部,科研費(基盤C: 21500117)の補助を受けて実施しています.
本研究は以下で発表しています.
大学サイエンスフェスタ2009(藤波研究室;“日用品を用いたコンピュータの操作”),2009年11月. (本学学生によるサイエンスフェスタレポート)
図1 自己紹介する塩酸の擬人化キャラクタ
図2 システム全景
図3 実験開始時
図4 水酸化ナトリウムを塩酸が入ったビーカーに入れている様子
図5 中和反応が起きた様子