生活習慣病予防のための情報提供メディアに関する研究
生活習慣病予防のための情報提供メディアに関する研究
鏡による生活空間遍在型運動意欲継続メディア(2007-)
本研究では健康のために運動を習慣化しようとする者の支援のために,意欲継続のための情報を日常生活空間に埋め込み,そこはかとなく情報を提示することを目的としています.現在,歩数計や体重計は様々な情報を計測でき,さらにはネットワークを介して情報を外部で活用できつつあります.しかしながらその提示は経時変化を示すグラフや数値といった単純なものが主流です.一方,キャラクタの成長などエンタテインメント要素を持ったものも考えられているが,端末やアプリケーションの起動に見られる能動的な動作が必要となります.しかし,意欲が低下している者はその動作そのものが疎かになるうえ,何らかの操作が必要となるために万人が恩恵を授かれるものではありません.
運動のうち本研究では特に,日々の歩行運動(ウォーキング)を対象とします.そして情報提供は鏡を通して行います.鏡は本来「見る」道具であるために情報表示は自然であり,歯磨きなどの他の行為を妨げません.また鏡は単に外面的な情報を与えるだけでなく,写った自己との対話により内面についても知ることができるため,運動情報と内面情報により意欲向上の相乗効果が期待できます.また,運動情報は人工生命的な手法により日々予期せぬフィードバックにより「見る楽しみ」を与え,意欲継続を狙っています.
右図はその例です.(a)に見られるように通常の鏡に自己の像とともに情報が提供されます.(b)は情報の表示例で,日付とともに「歩数の前日比」が三角形の形状で表現されます.同色の三角形は群れをなして動き,動きのパラメータも「歩数の前日比」で制御されます.
本研究は(財)科学技術融合振興財団(FOST)の平成20年度助成を受けています.
また本研究は以下で発表しています.
Kaori Fujinami; “Case Studies on Augmented Mirrors that reflect Context”, In Proceedings of the 14th International Conference on Distributed Multimedia Systems (DMS2008), Boston, USA, September 2008.
藤波香織;”生活空間に遍在した意欲継続メディアに関する検討”,第70回情報処理学会全国大会,2008年3月
Kaori Fujinami and Jukka Riekki; “A Case Study on an Ambient Display as a Persuasive Medium for Exercise Awareness”, In Proceedings of the 3rd International Conference on Persuasive Technology (Persuasive2008), pp. 266-269, Oulu, Finland, June 2008.