化学実験非熟練者の安全技能を向上するスマート実験室に関する研究

 
 

ost4ce (On-site Safety Training for Chemistry Experiments)(2009-2011年度,2012-2014年度)

第1期:

2009年度:宗官祥史, 稲川暢浩,西條洸介,藤波香織, 品川徳秀(以上,情報工学科),江木啓訓(情報メディアセンター), ウレッド レンゴロ(化学システム工学科)

2010年度: 宗官祥史, 侯明偉,松澤沙緒里,藤波香織, 品川徳秀(以上,情報工学科),江木啓訓(情報メディアセンター), ウレッド レンゴロ(化学システム工学科)

2011年度: 宗官祥史, 侯明偉,内藤理佐,藤波香織(以上,情報工学科), 品川徳秀(筑波大学),江木啓訓(農工大・情報メディアセンター), ウレッド レンゴロ(化学システム工学科)


第2期:

2012年度:伊藤香織,小笠原寿馬,佐藤真,藤波香織(以上,情報工学科),ウレッド レンゴロ(化学システム工学科)


 


教育機関での化学実験の安全教育は学期始めなどに一括して座学形式で行われていますが,実験中の事故は後を絶ちません.化学実験では大学初年時の実験初心者の約半数がヒヤリ・ハット経験をしており,これは機器操作のミスや知識不足が原因であると考えられています.


本研究では,「スマート実験室」により実験作業を通して安全確保に関わる技能を向上し,さらには作業を通じて座学では得られないような学習効果を促進するようなシステムの設計原理を明らかにします.


本研究では安全教育のためのシステムを対象としますが,最終的なゴールは作業者がシステムから独立し,システム無しでも安全に化学実験を行えるようになることです.安全確保のためのシステムが何もかもを指示し解決すれば,結局システムに依存してしまい,そのシステムなしに危険を回避することが困難になり,これでは作業者の独立という本質的な安全教育には繋がらないと考えるからです.


そこで,我々は警告として表示するメッセージの曖昧さを制御することを提案しています.曖昧さを用いることは,直面した状況に複数の解釈を与えることができ,同時に作業者に思考の機会を与え,関連する事項への認識を増加させると考えられています.本研究では,危険を知らせるメッセージを時間的・空間的・意味的の3つの曖昧さをもって提示することで,安全に実験を進めつつ作業者自らが危険な状況を理解でき,応用できるようになることを目指しています.


本研究は,科研費(基盤C: 21500117)の補助を受けて実施しています.


また,本研究は以下で発表します(しました).

  1. 箇条書き項目Kaori Ito, Hiroaki Taguchi and Kaori Fujinami; “Posing Questions during Experimental Operations for Safety Training in University Chemistry Experiments”, International Journal of Multimedia and Ubiquitous Engineering (IJMUE). (accepted)

  2. 箇条書き項目伊藤香織,田口宏明,藤波香織;“化学実験安全教育システムにおけるメッセージ内容及び提示方法の検討”, 第75回情報処理学会全国大会,1ZE-9,2013年3月6日.

  3. 箇条書き項目小笠原寿馬,岩﨑正裕,藤波香織;“卓上作業支援における小型物体の位置特定と個体識別に関する検討とその応用”, 第75回情報処理学会全国大会,2T-8,2013年3月6日.

  4. 箇条書き項目佐藤真,田中希武,藤波香織;“物体情報を用いた卓上投影型拡張現実感における情報の視認性向上と解釈阻害を防止する投影手法”, 第75回情報処理学会全国大会,2AZ-1,2013年3月6日.

  5. 箇条書き項目田中希武,藤波香織;“プロジェクタとカメラを用いた拡張現実感のための物体認識精度向上に関する基礎検討”, 第75回情報処理学会全国大会,2ZA-6,2013年3月6日.

  6. 箇条書き項目Kaori Fujinami and Akifumi Sokan; “Nondirective Information Presentation for On-site Safety Training  in Chemistry Experiments”, In Proc. of ACM International Working Conference on Advanced Visual Interfaces (AVI 2012), May 2012.

  7. 箇条書き項目宗官祥史,江木啓訓,藤波香織;“情報提示の多義性に着目した化学実験の安全学習支援-警告メッセージの内容と提示場所の効果比較-”,インタラクション2012(インタラクティブ発表),2012年3月.

  8. 箇条書き項目内藤理佐,宗官祥史,藤波香織;“化学実験中における危険回避と安全学習の両立に向けた情報提示タイミングの基礎検討”, 第74回情報処理学会全国大会,2012年3月.

  9. 箇条書き項目Akifumi Sokan, Ming Wei Hou, Norihide Shinagawa, Hironori Egi and Kaori Fujinami; “A Tangible Experiment Support System with Presentation Ambiguity for Safe and Independent Chemistry Experiments”, Journal of Ambient Intelligence and Humanized Computing, Springer.

  10. 箇条書き項目Kaori Fujinami, Nobuhiro Inagawa, Kosuke Nishio and Akifumi Sokan; “A Middleware for a Tabletop Procedure-aware Information Display”, Multimedia Tools and Applications, Springer.

  11. 箇条書き項目Akifumi Sokan, Hironori Egi and Kaori Fujinami; “Spatial Connectedness of Information Presentation for Safety Training in Chemistry Experiments”, To appear in Proc. of ACM International Conference on Interactive Tabletops and Surfaces 2011 (ITS2011) (poster), November 2011.

  12. 箇条書き項目宗官祥史,松澤沙緒里,侯 明偉,江木啓訓,品川徳秀,藤波香織;“化学実験の安全学習支援のための情報の多義性の効果検討”,第73回情報処理学会全国大会,2011年3月.

  13. 箇条書き項目松澤沙緒里,宗官祥史,侯 明偉,品川徳秀,江木啓訓,藤波香織;“安全な化学実験教育のための他者情報の提示法”,第73回情報処理学会全国大会,2011年3月.

  14. 箇条書き項目宗官祥史,松澤沙緒里,江木啓訓,品川徳秀,藤波香織;“化学実験の安全学習支援のための警告メッセージにおける多義性尺度設計の基礎検討”,ヒューマンインタフェース学会 第68回研究会(SIG-DE-03),2010年11月24日.

  15. 箇条書き項目宗官祥史,藤波香織;“情報の多義性を活用した化学実験の安全技能向上支援システム”,富山県立大・早大・慶大・農工大4研究室合同ワークショップ,2010年11月.

  16. 箇条書き項目Akifumi Sokan, Nobuhiro Inagawa, Kosuke Nishijo, Norihide Shinagawa, Hironori Egi and Kaori Fujinami; “Alerting Accidents with Ambiguity: A Tangible Tabletop Application for Safe and Independent Chemistry Experiments”, In Proceedings of the 7th International Conference on Ubiquitous Intelligence and Computing (UIC2010), LNCS 6406, pp. 151-166, October 2010.

  17. 箇条書き項目Akifumi Sokan and Kaori Fujinami; “A-CUBE: A Tangible Tabletop Application to Support Safe and Independent Chemistry Experiments”, video demonstrated at the 7th International Conference on Ubiquitous Intelligence and Computing (UIC2010), October 2010.

  18. 箇条書き項目江木啓訓,宗官祥史,品川徳秀,藤波香織;“化学実験の安全学習を支援するスマート実験室の構築”,日本教育工学会 第26回全国大会,1a-508-03,2010年9月.

  19. 箇条書き項目江木啓訓,松澤沙緒里,宗官祥史,品川徳秀,藤波香織;“化学安全学習における周辺情報の提示に関する検討”,グループウェアとネットワークサービスワークショップ2010(GNワークショップ2010),2010年9月.

  20. 箇条書き項目宗官祥史,稲川暢浩,西條洸介,江木啓訓,品川徳秀,藤波香織;“多義性がある危険情報の提示による化学実験の安全技能向上支援システム”, マルチメディア,分散,協調とモバイルシンポジウム (DICOMO2010),2010年7月.

  21. 箇条書き項目Kaori Fujinami, Akifumi Sokan, Nobuhiro Inagawa, Kosuke Nishijo, Norihide Shinagawa and Hironori Egi; “A Preliminary Experiment on Ambiguous Presentation for Safe and Independent Chemistry Experiments”, To be presented at Late Breaking Results Session in the 8th International Conference on Pervasive Computing (Pervasive2010), May 2010.

  22. 箇条書き項目宗官祥史,稲川暢浩,品川徳秀,江木啓訓,藤波香織;“危険情報の提示による化学実験の安全技能向上支援原理の基礎検討”,インタラクション2010(インタラクティブ発表・議論部門 プレミア発表),pp.103-106, 2010年3月1-2日.

  23. 箇条書き項目(学生奨励賞)宗官祥史,稲川暢浩,西條洸介,品川徳秀,江木啓訓,藤波香織;“曖昧な危険警告による化学実験の安全技能向上支援に関する研究”,第72回情報処理学会全国大会,pp. 4-79~80,2010年3月.