即興的なモノとその使用者の関連づけ
即興的なモノとその使用者の関連づけ
Aha!はAd-Hoc Associationを意味しており,驚きなどの気持ちを表して「へえ!」というときに用いる語として実際に使われています.本研究では,前バージョンのKukaを発展させてモノと複数のユーザの関連づけをその場で行う方式を開発することを目指しています.Kukaでは動作が最も近いモノを選ぶだけでしたが,本課題では使用者数が不明である中で類似するコンテキストを持つセンサを選択する一般化された方式を開発します.
Aha!に関しては以下で発表しています.
Kaori Fujinami; “Ad-hoc Grouping of Multiple Sensor Nodes based on Similar Movements”, In Proc. of the 209 International Symposium on Ubiquitous Computing Systems (UCS’09), pp. 31-41, Beijing, China, August 2009. (Best Paper Award)
Kaori Fujinami; “Ad-hoc Grouping of Sensor Nodes that Move Together”, In adjunct Proc. of Ubicomp 2008 (poster), September 2008.
(依頼講演) 動きの近さに基づく複数のモノや人の刹那的なグルーピング,電子情報通信学会秋期ソサイエティ大会, September 2008.
Kuka (2006-2007)
Kuka(フィンランド語で「誰(who)」)は人が使用しているモノを特定する(あるモノを誰が使っているかを特定する)ための基盤システムです.Kukaでは,モノの側から見れば個人に応じて振る舞いを変える(鍵の開閉など)ことを可能とし,使っている人の側から見ればその人の行動に関するコンテクストをよりはっきりすることを可能とします.とくに後者に関しては具体的に使用しているモノが分かることでそれに関連付いている役割から使用者のコンテクストをより特化することができることを意味しています.
以下の図では,白板消しと掃除機を使っている人がそれぞれ誰であるか(各人が何を使っているか)を特定することを表しています.この場合,ユーザは体に複数の加速度センサをつけており,掃除機及び白板消しの方にも加速度センサをつけています.
Kukaでは3段階に人とモノの関連づけを行います.
モノと人との間の近さ
電波の到達可否により表されます.この段階では,まだ複数人該当し得ます.
モノを使うときにとりうる行動
たとえば,掃除をしているときには「歩行」か「直立」となり,「着座」などは除外します.
使用に関与する身体部位とモノとの動作パターンの近さ
たとえば,自転車ならばペダルと足では同期して動くし,白板消しならば手と同期して動くため,この一致度合いを利用します.
右の図では,白板消しを使ったときの右手首と右太もも,また比較として歯ブラシを使って歯を磨いたときの右手首の加速度センサのある軸の変化の様子を表しています.これから実際に使用した右手首の波形と白板軽視の波形が似ていることが視覚的に分かります.
つぎに,一番下の図では相関係数(Correlation Coefficient)を表しています.これにより,相関係数が使用者とモノを関連づけるキーとなり得ることが分かります.
Kukaにより人の行動コンテクスト認識における役割分担を実現できると考えています.これは,モノ(人工物)ではその使用状況の検出に特化し,ユーザ側(ウェアラブルセンサ)では歩行や着座のような基本的な行動の認識に特化することすることができるようになります.
Kukaに関しては,以下で発表しています.
Kaori Fujinami and Susanna Pirttikangas; “Kuka: An Architecture for Associating an Augmented Artefact with its User using Wearable Sensors”, In Proceedings of IEEE International Conference on Sensor Networks, Ubiquitous, and Trustworthy Computing (SUTC2008), Taichung, Taiwan, June (2008).
Kaori Fujinami and Susanna Pirttikangas; "A Study on a Correlation Coefficient to Associate an Object with its User", In Proceedngs of the 3rd IET International Conference on Intelligent Environment (IE07), September (2007).
藤波香織,Susanna Pirttikangas,中島達夫;“相関係数を用いた使用中のモノについての情報収集手法に関する一検討”,情報処理学会ユビキタスコンピューティングシステム研究会第13回発表会,情報処理学会研究報告 2007-MBL40/UBI13, pp. 219-226, 2007年2月22, 23日
IST Event 2006(フィンランドパビリオンのCAPNETプロジェクト,2006,ヘルシンキ)
藤波香織,Susanna Pirttikangas,中島達夫;“ウェアラブルセンサと知的日常物の連携によるユーザ特定”,情報処理学会ユビキタスコンピューティングシステム研究会第11回発表会,2006-UBI-11, pp.7-14, May 2006.