コンテクストアウェアな鏡
コンテクストアウェアな鏡
AwareMirror (2003-)
AwareMirrorは普段我々が慣れ親しんでいる,「鏡」の概念を拡張し,そこに写っている人物のコンテクストを反映した情報を表示する鏡です.
これまでも鏡のメタファを用いてなんらかの情報表示を行なっていたデバイスは存在しますが,それらは利用者がそれが提供する新たな機能を意図的に使用することを前提としていました.しかしこの場合は使用方法を覚える必要があるために,高機能「デバイス」の域を出ていませんでした.
AwareMirrorはその通常の使用感を変えずに,自然に「使う」ことが出来ることを設計方針としており,将来の計算機が埋め込まれた人工物のあり方を研究する上での一つのケーススタディとして開発されました.
AwareMirrorにはImplicitモード(図(a))とExplicitモード(図b, c)の2つのモードがあり,前者はイメージに抽象的に表現することで通常の鏡の使用中に「視線の端」で情報を捉えることができます.一方,後者は文字を用いて詳細に表示するもので,Implicitモードを見た上で詳細情報が欲しいと感じたときのみユーザが自ら遷移させます.遷移はフレーム下部に取り付けられている「ジッパー」を用いて行います.ジッパーを用いることで,(詳細)情報の取り出しを直感的に行うことができると考えています.さらに,ユーザの好みによりExplicitモードはテロップ型(図b)と新聞型(図c)を選択することが出来ます.
AwareMirrorは,以下の論文にて説明しています.
藤波香織,カウサル ファヒム,中島達夫; “鏡を拡張したコンテクストアウェア情報表示装置”,情報処理学会論文誌,Vol. 49, No. 6, July 2008.
Kaori Fujinami and Fahim Kawsar; “An Experience with Augmenting a Mirror as a Personal Ambient Display”, In Proceedings of the 8th Asia-Pacific Conference on Computer Human Interaction (APCHI2008), Seoul, Korea, July 2008
Kaori Fujinami, Fahim Kawsar and Tatsuo Nakajima; AwareMirror: A Personalized Display using a Mirror, International Conference on Pervasive Computing (Pervasive 2005), LNCS 3468, pp. 315-332, Munchen, Deutschland, May, 2005.
Kaori Fujinami, Kanako Okada, Fahim Kawsar, and Tatsuo Nakajima; "Living with Sentient Artefacts" Ubicomp 2005 (video), Tokyo, Japan, September 2005.