2014年新年のあいさつ
2014年学長の年頭挨拶です。
平成26年1月6日
東京農工大学長 松永 是
新年あけましておめでとうございます。本日は年頭から教職員の皆様にお集まりいただき、ありがとうございます。平成26年の新年のスタートにあたりまして、本学をより良い大学にしていくため、学長としての考えを皆様にお伝えし、共働して頑張って参る所存でございます。
東京農工大学は、本年、大学創基140年を迎え、これまで培ってきた長い歴史と伝統を引き継ぎ、産業の基幹である農学と工学を中心として、その融合分野も含めた教育研究のさらなる充実を図るために大胆な改革が必要となっていると実感しております。特に現在、本学が重点的に取り組んでいる食糧・環境・エネルギー問題など人類と地球上のすべての生物の存続にかかわる課題の解決及び持続発展可能な社会を実現するために大学が果たすべき役割は非常に大きくなっております。
本学は、これまで『美しい地球持続のための全学的努力』として、グリーンイノベーションやライフイノベーションに精力的に取り組んで参りました。その成果として博士課程教育リーディングプログラムに採択され、農工融合によるグリーン・クリーン食料生産を支える実践科学リーディング大学院のプログラムにおいて5年一貫の大学院教育を行い、イノベーションリーダーとなり得る博士人材を社会に送り出す事業が着実に推進されています。さらには若手人材育成の一環であるテニュアトラック制度も定着し、昨年は文部科学省の支援により運営費交付金で一斉公募による6名のテニュアトラック准教授の採用も実施しました。本年は若手研究者支援、女性支援及び外国人研究者の雇用促進など、世界に伍する科学技術系人材養成にもこれまで以上に積極的に取り組んで参りたいと考えております。また、昨年末には、新たに世界展開力強化促進事業にも採択され、グローバル人材育成にも、これまで以上に力を入れて参りたいと思っております。
昨年、文部科学省は『国立大学改革プラン』を発表するとともに、法人化後の国立大学が旧来の教育研究やマネジメントの在り方では、厳しい国際社会の中で勝ち抜いていくことは極めて難しいということを改めて自覚したうえで、危機感を持って、大学改革に主体的、積極的に取り組むよう、各大学の自発的な改革促進を促しております。この国立大学改革プランには国立大学の改革を確実・迅速に実行するため、今後取り組むべき改革の方針や方策が示されています。このプランでは、第二期中期目標・計画期間の後半の3年間を特に改革加速期間として位置づけ、グローバル化、イノベーション創出などの機能強化、人事・給与システム改革などを具体的、一体的に進めることとしております。その上で、主体的・積極的に改革に取り組む大学には、重点的に支援をすると明言しております。平成26年度政府予算案の運営費交付金の国立大学機能強化の中で、世界水準の教育研究活動を飛躍的に充実させる12大学に本学が選定されました。社会から求められているものは国立大学改革の「実行」であります。本学は、これらを国立大学への強い期待の表れと受け止め、改革を着実に実行していく決意を固める必要があると強く感じております。本学は、この時機をチャンスとして捉え、社会や国民、これから大学に入学しようとしている若者のニーズに機敏に対応し、中長期的な姿を見据えた大学の改革のシナリオを描くとともに、それに基づく全学的なグローバル化と改革の実行、機能強化を図って参りたいと思います。
東京農工大学は、本年の創基140周年から第3期中期目標・計画期間へ移行する平成27年度末までの2年数か月間をグローバル化及び大学改革の集中実施期間として設定するとともに、大学創基150周年までの10年間の具体的な長期展望を、学長ビジョン『MORE TUAT150』として設定・明確化し、世界トップ100大学を目指すために次の取組を実施することといたします。
●東京農工大学は創基以来、産業界で役立つ実学教育の大学として教育研究を推進しており、140年の時を経て産学連携へとさらなる発展を遂げ、グローバルイノベーションの推進へと進化している。東京農工大学の建学の原点に立ち返り、産学連携の推進をエンジンとしてイノベーションを引き起こす共同研究と実社会で活躍する実学重視の人材養成を推進する。
●文部科学省『国立大学改革プラン』を大学危機ではなく、東京農工大学の今後の発展のためのチャンスと捉え、特にこの2年間を改革集中実施期間として抜本的な制度改革を行う。教育研究の効果的・効率的な実施を図るための諸制度を改革し、組織整備・人事制度・財務基盤について役員・教職員が一体となって改革を実施する。
教職員の皆様には、一丸となって大学と社会の発展のため、グローバル化・大学改革にご尽力いただきますようお願い申し上げ、新年の挨拶といたします。