東京農工大学

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研究TOPICS

有機合成化学で「ものづくり」に挑む! 工学部 応用化学科(旧:有機材料化学科)「中野研究室」

研究キーワードは、有機化学を用いた「ものづくり」です。もう少し詳しくいうと有機合成化学、高分子合成化学を基盤とした「有機機能性材料」の創製に取り組んでいます。
研究テーマの柱のひとつは、二酸化炭素を用いたプラスチックの開発です。枯渇する化石燃料の代わりに、自然に豊富に存在する二酸化炭素を使って、今や生活に不可欠のプラスチックをつくることができれば、環境にやさしいのは言うまでもありません。

実験では二酸化炭素由来プラスチックの化学合成をするための金属触媒の開発や新しい機能を付加した材料の開発にも取り組みます。また、企業との共同研究も盛んで、国内化学メーカーと共同で製品化をめざして研究しています。ほかに有機半導体材料や有機発光材料の開発も行っています。有機材料は軽量でフレキシブル(曲がる)という特徴があり、有機ELディスプレイに用いれば、局面に貼りつけられるテレビやモニターが実現できます。

有機合成化学の研究の面白いところは、原子一つひとつの0.1ナノメートルオーダーの結合を自在に操ることで、自分が設計した化合物を合成し、思い通りの機能を持たせられること。新規材料を開発するだけでなく、デバイス応用の研究などにも研究を展開していて、基礎化学から応用化学、応用物理学までを一貫して学べるようにしています。ここで身につけた専門知識は、企業からのニーズも高く、研究室の卒業生たちは、化学メーカーはもちろん、自動車メーカー、食品メーカー、ゴム(タイヤ)メーカー、石油会社など幅広い分野の企業に就職しています。

研究室で開発した有機発光材料
中野 幸司 准教授

工学部 応用化学科
(旧:有機材料化学科)
中野 幸司 准教授

京都大学大学院工学研究科材料化学専攻博士後期課程中退。工学博士。
専門は、高分子化学、有機合成化学、機能物質科学ほか。
2012年から東京農工大学で指導にあたる。

Student's Voice

青木 素大さん

工学部 有機材料化学科 4年
青木 素大さん

神戸市立工業高等専門学校出身
「ヘリセン」という分子を側鎖に入れた高分子をつくっています。六角形のベンゼン環が連なったヘリセンは、構造的にも面白く、新たな特性が見つかるのではないかと期待しています。

中嶋 祐里さん

大学院工学府 応用化学専攻 博士前期2年
中嶋 祐里さん

私立鷗友学園女子高校出身
特殊な発光特性を示す新規有機化合物の合成に取り組んでいます。成功すれば、3Dディスプレイに応用できます。内定をもらったタイヤメーカーでも研究の経験を活かしたいと思います。

平野井 陽さん

大学院工学府 応用化学専攻 博士後期2年
平野井 陽さん

国立東京工業大学附属科学技術高校出身
二酸化炭素由来のプラスチックを合成するための金属触媒を開発しています。この研究で国際学会の発表も行いました。将来は、繊維系など高分子を扱うメーカーの研究職に就きたいです。

※掲載内容は、2017年11月取材時のものです。