rank(階数)
<定義>
任意の行列\(A\)に対して線形独立な
列(行)ベクトルの個数を\(rank\)(階数)といい,
\(rank A\)と表す.
行基本変形を用いて簡約化を行ったときの
零ベクトルでない行の数がその値となる.
<例>
(1)
\(A=\begin{bmatrix} 2 & 0 \\ 4 & 2 \end{bmatrix}\)→
\(A'=\begin{bmatrix} 2 & 0 \\ 0 & 2 \end{bmatrix}\)
\(rankA=2\)
(2)
\(B=\begin{bmatrix} 2 & 1 \\ 4 & 2 \end{bmatrix}\)→
\(B'=\begin{bmatrix} 2 & 1 \\ 0 & 0 \end{bmatrix}\)
\(rankB=1\)
(3)
\(C=\begin{bmatrix} 1 & 1 & -3 \\ -1 & 0 & 5 \\ 0 & 3 & 6\end{bmatrix}\)
\(C'=\begin{bmatrix} 1 & 1 & -3 \\ 0 & 1 & 2 \\ 0 & 0 & 0 \end{bmatrix}\)
\(rankC=2\)
線形独立なベクトルの個数が\(rank\)である.
つまり,対象の行列が最低何次元で表すことができるか,
また,その変換によって何次元空間に像が写されるか,
を考えていることになる.
例えば(1)の例では,上図のように\(A=\begin{bmatrix} 2 & 0 \\ 4 & 2 \end{bmatrix}\)を
簡約化することで\(\begin{bmatrix} 2 & 0 \\ 0 & 2 \end{bmatrix}\)となり,\(rank\)は\(2\).
したがって,\(A\)は
を行う行列である.
(2)は2×2の行列であるが,簡約化を行うと
2行目が零ベクトルとなり,\(rank\)は1である.
上図のようにこの\(B\)は直線であり,
\(B\)による変換で
.
同様に(3)は3×3の行列であるが,\(rank\)は2である.
そのため,上図のように\(C\)は平面であり,
\(C\)は
を行う.
また,このように簡約化を行ったときに零ベクトルが
存在するとき,つまり,\(n\)行の行列\(X\)に対し\(rankX \lt n\)
であるとき,\(X\)の逆行列や行列式も存在しない.