逆行列
<定義>
任意の正方行列\(A\)に対して\(AX=XA=E\)
をみたす行列\(X\)が存在するとき,この\(X\)を
\(A\)の逆行列といい\(A^{-1}\)と表す.
<例>(行基本変形を用いた逆行列の求め方)
\(\begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 2 & 1 \end{bmatrix}\)
\(\begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{bmatrix}\)
↓2行目を-1倍したものを1行目に加える.
\(\begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 2 & 1 \end{bmatrix}\)
\(\begin{bmatrix} 1 & -1 \\ 0 & 1 \end{bmatrix}\)
↓1行目を-2倍したものを2行目に加える.
\(\begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{bmatrix}\)
\(\begin{bmatrix} 1 & -1 \\ -2 & 3 \end{bmatrix}\)
右側の行列\(\begin{bmatrix} 1 & -1 \\ -2 & 3 \end{bmatrix}\)が\(\begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 2 & 1 \end{bmatrix}\)の
逆行列である.
正方行列\(A\)に対して\(AX=XA=E\)を満たす\(X\)が
逆行列である.
つまり,2次元であれば上図のような平行四辺形が
される行列であるといえる.
このときの図形の面積を考えると,
\(A^{-1}\)は面積を\(\frac{1}{Aの面積}\) 倍に変換している.
行列式の値はその行列の面積を表していることから,
\(\begin{vmatrix} A^{-1} \end{vmatrix} = \frac{1}{\begin{vmatrix} A \end{vmatrix}} \)が成り立つ.
また,このときの
させると
上図のような図形が描かれる.
この行列が元の正方行列\(A\)の逆行列\(A^{-1}\)である.
逆行列は行列によっては存在しないものもある.
例えば,\(\begin{bmatrix} 3 & 6 \\ 1 & 2 \end{bmatrix}\)のように
逆行列は存在しない.
行列による変換を行うとき,変換される点は
必ず1点に決まる.
つまり,直線や点のように図形が潰れていると
正方形に戻すことができないのである.
左の例は,対象の行列と単位行列を並べ,
行基本変形を用いて逆行列を求める方法である.
どちらにも同様の基本変形を用いた結果,
上図のように遷移する.