逆行列

<定義>
 任意の正方行列\(A\)に対して\(AX=XA=E\)
 をみたす行列\(X\)が存在するとき,この\(X\)を
 \(A\)の逆行列といい\(A^{-1}\)と表す.


  <例>(行基本変形を用いた逆行列の求め方)

   \(\begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 2 & 1 \end{bmatrix}\) \(\begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{bmatrix}\)

    ↓2行目を-1倍したものを1行目に加える.

   \(\begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 2 & 1 \end{bmatrix}\) \(\begin{bmatrix} 1 & -1 \\ 0 & 1 \end{bmatrix}\)

    ↓1行目を-2倍したものを2行目に加える.

   \(\begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{bmatrix}\) \(\begin{bmatrix} 1 & -1 \\ -2 & 3 \end{bmatrix}\)

  右側の行列\(\begin{bmatrix} 1 & -1 \\ -2 & 3 \end{bmatrix}\)が\(\begin{bmatrix} 3 & 1 \\ 2 & 1 \end{bmatrix}\)の
  逆行列である.
1/4

  正方行列\(A\)に対して\(AX=XA=E\)を満たす\(X\)が
  逆行列である.
  つまり,2次元であれば上図のような平行四辺形が
  される行列であるといえる.

  このときの図形の面積を考えると,
  \(A^{-1}\)は面積を\(\frac{1}{Aの面積}\)  倍に変換している.
  行列式の値はその行列の面積を表していることから,
  \(\begin{vmatrix} A^{-1} \end{vmatrix} = \frac{1}{\begin{vmatrix} A \end{vmatrix}} \)が成り立つ.
2/4

  また,このときのさせると
  上図のような図形が描かれる.

  この行列が元の正方行列\(A\)の逆行列\(A^{-1}\)である.
3/4

  逆行列は行列によっては存在しないものもある.
  例えば,\(\begin{bmatrix} 3 & 6 \\ 1 & 2 \end{bmatrix}\)のように
  逆行列は存在しない.

  行列による変換を行うとき,変換される点は
  必ず1点に決まる.
  つまり,直線や点のように図形が潰れていると
  正方形に戻すことができないのである.
4/4

  左の例は,対象の行列と単位行列を並べ,
  行基本変形を用いて逆行列を求める方法である.
  どちらにも同様の基本変形を用いた結果,
  上図のように遷移する.