骨格筋の研究

 筋が痩せて細くなることを筋萎縮と呼びます。筋萎縮は筋そのものに原因がある筋原性筋萎縮と運動神経障害による神経原性筋萎縮に大別されます。また、筋や神経に異常がない場合でも、加齢などによるサルコペニア、宇宙微小重力や不動などによる廃用性筋委縮などが問題視されています。

 廃用性症候群は「身体の不活動状態により生ずる二次的障害」と定義されており、筋骨格系をはじめとした様々な臓器に影響を及ぼし、QOLの低下を招きます。特に筋萎縮においては、寝たきり初期で1日あたり1~3%、1週間で10~15%、1ヶ月でおよそ50%もの筋力が低下すると言われています。

筋管形成(筋細胞分化)のメカニズム

 筋芽細胞は増殖後、分化・融合し筋管を形成します。筋管はさらに成熟し集合することで筋線維を形成します。筋線維の周囲にはサテライト細胞と呼ばれる筋幹細胞が存在しており、過負荷などによる筋線維断裂(筋損傷)時において、活性化・増殖・分化し、筋線維と融合することで筋再生を行います。筋細胞培養系では、2~5%ウマ血清を含む培地で培養を行うことで筋管形成を誘導する方法が一般的です。

研究例

 筋芽細胞株C2C12細胞培養系において、2%ウマ血清含有培地を用いて筋管形成を誘導しました。筋管はミオシン重鎖(MHC)の免疫染色により赤色に染色されました。

 薬の作用機序を解明するため、筋細胞の免疫細胞染色(赤: 化合物, 緑: エンドソーム, 青: 核)を行ったところ、薬はエンドサイトーシスによって筋細胞に取り込まれることが示されました。

研究テーマ

  • 廃用性筋萎縮の発症メカニズムの解析
  • 力学的負荷による筋代謝制御機構の解析
  • デュシェンヌ型筋ジストロフィーにおけるジストロフィンタンパク質の高感度定量法の開発