RESEARCHシステム適応生物学 (片岡グループ)

持続可能な食料・飼料資源としての昆虫の研究

昆虫食は食の多様性の一つとして、世界の多くの地域で古くから親しまれ、現代でも20億人以上が日常的に食していると言われています。この伝統的な食文化は、環境への負荷が少なく、優れた栄養特性を持つことから、現代の食システムにおいても新たな可能性を秘めています。

本研究では、主にコオロギをモデルとして、昆虫食の持つ可能性を探究しています。ゲノム解析を通じて栄養素代謝に関連する遺伝子を特定し、より安定的な生産を可能にする育種技術の開発を目指しています。また、昆虫の腸内細菌叢の解析や最適な飼育条件の検討を通じて、安全で効率的な生産システムの確立に取り組んでいます。さらに、昆虫由来の成分がヒトや動物の健康に与える影響を解明し、新たな食料や飼料としての可能性を探求しています。

これらの研究を通じて、昆虫食という伝統的な食文化の科学的理解を深め、食の多様性をより豊かにする知見の集積を目指しています(図6)。

図6. バッタの仮面を装着する片岡