突撃!? 研究室訪問
私たちが案内します!
工学部電気電子工学科 1年
溝口佳奈さん
神奈川県立川和高等学校出身
工学部電気電子工学科 1年
関口絵理香さん
栃木県立宇都宮女子高等学校出身
Q.
研究内容を教えてください。
A.
次世代のトランジスタを自らの手でつくり出す研究
上野智雄教授
スマホの動作が遅い!サイズがでかい!電池持ちが悪い! 当研究室では、こうした課題を半導体という分野から解決しようとしています。研究キーワードは「半導体デバイス」。詳しく言うとトランジスタの性能向上のための基礎研究を行っています。トランジスタと聞いて、実物が思い浮かぶ人は少ないでしょう。トランジスタは、電子回路でスイッチ動作を行う超小型の素子。パソコン、ゲーム機、デジカメなど皆さんの身の回りのさまざまな電気製品に使われています。
いちばんわかりやすいのは、スマートフォンの液晶画面。ここでは約200万個のトランジスタが、電気のON・OFFを繰り返して、写真や動画などを表示しています。パソコンの画面をデジカメで撮影するとドットが写り込むことって、ありますよね? あのドット一つひとつにもトランジスタが組み込まれていて、1秒間に30回以上、発光のON・OFFを繰り返しているのです。私たちは、研究室独自のトランジスタを開発し、従来製品よりも小型化、省消費電力化を実現するための手法を模索しています。
Q.
普段はどんな実験をしていますか?
A.
薄膜を積層する実験装置で独自のトランジスタを作製
大竹 博義先輩
工学府 電気電子工学専攻 修士課程2年
私立横浜高等学校出身
トランジスタというと電子部品のようですが、実物は厚さ1ナノという微細な薄膜です。シリコン製の半導体基盤の上に3層の膜を積層させています。実験では、さまざまな化学物質を用いた薄膜でトランジスタを作製し、その性能をテストします。研究室には、ナノサイズの薄膜を積層するための「スパッタリング装置」という大型実験装置もあります。素材となる化学物質の成分を変えたり、積層の条件を変えたり……と日々、試行錯誤の連続。最近は、ジルコニウムという新しい素材を使ったトランジスタを作製し、その未知の可能性を探っています。授業では難しいレベルの実験に挑戦できるのが、研究室の楽しさだと思います。
Q.
研究の面白さって、どんなところですか?
A.
みんなが持ってるスマホやPCの未来を変える可能性がある!
杉野 優介先輩
工学府 電気電子工学専攻 修士課程2年
私立八王子高等学校出身
やはり未知の謎に挑めるところです。実験をして、思い通りの結果が出ることなんて滅多にありません。むしろ、いい結果が出るよりも予想外の結果が出て、頭を抱えるほうが実は面白かったりします。ひとつ課題を解決するとまた次の課題……。それを乗り越えていくのが、理工系の研究です。この研究室は、電気電子工学科に所属していますが、実験内容はかなり化学の知識を使います。もともと化学が苦手だったメンバーも多いのですが、すっかり実験に没頭しています。知識を使う目的が明確だと苦手科目さえも楽しめるのです。自分たちが開発したトランジスタが、スマホやPCの未来を変える可能性もあると考えるとワクワクしますね。
取材後記
溝口佳奈さん
理工系の研究室らしい大型実験装置に感動!
研究内容は非常に高度でしたが、身近なスマートフォンやタブレットに応用されているため、応用先をイメージしやすかったです。研究の中で、電気回路を組むだけではなく、その部品自体の開発もし、さらに化学物質も使っていることには驚きました。研究室にものが雑多に置かれていたこと、大きな実験装置が置いてあったことも、想像していた理工系の研究室らしくてよかったです(笑)。先輩同士が仲よしで、研究室内の雰囲気がものすごく楽しそうだったのも印象的でした。
関口絵理香さん
研究には総合的な知識が必要だと実感!
実際に研究室を訪れて説明を受け、授業で習ったことがいかに研究で応用されているのかを、知ることができました。とはいうものの大学1年生はまだ授業の内容が高校の延長線上みたいなもので、専門的な内容を学んだわけではないので専門用語が呪文のようで、ちんぷんかんぷんな面も(笑)。今回の研究室には化学薬品を取り扱う部屋もあり、電気電子なのに!? こんなこともするの?と驚き、研究には総合的な知識が必要なことを実感しました。大学の授業は研究をしていくための手段であることが高校の授業との違いだと実感しました。