お問い合わせのページから、質問を募集しています。集まり次第、随時更新していく予定です。
4.1 管理作業等について
4.2 団体について
4.3 その他
Q. ミミズコンポストの処理速度が比較的遅いのはなぜか?かき混ぜる回数が少ないのが関係しているのか?
A. かき混ぜる回数が少ないことにも関連しますが、発酵過程における高温状態の程度の低さや持続時間の短さが主な要因かと思います。
発酵の過程では一次発酵(高温)と二次発酵(熟成)の2つに分かれます。
好気性微生物のみを用いた場合、この一次発酵の段階で70℃程度まで温度が上がり、その分水分も蒸発します。生ゴミの大部分は水分ですので、かさを短時間で減らすためにはこの一次発酵の段階でどれだけ高温を維持できるかということが重要になります。
ミミズコンポストの場合は、基本的に生ゴミを投入してから、一次発酵によって40℃程度まで温度は上がりますが、その後すぐに温度が下がり、ミミズを利用した二次発酵の段階に移ります。
従って、温度の上昇幅が小さく、持続時間も短いミミズコンポストでの生ゴミ処理の方が、時間が掛かることになります。
また、ミミズ•微生物の活性が落ちる冬場は、夏に比べて処理速度が1/3〜1/2程度落ちます。そのように季節的な影響も受けることも鑑みて、比較的遅いという記述を載せました。
ここでの「処理」というのはあくまで1日あたりの生ゴミ処理量(kg/day)に重点を置いていることに注意が必要です。生ゴミ投入から堆肥化完了までの時間は好気性微生物のみのもの(1〜2ヶ月)よりも、ミミズコンポストの方が早い(1〜2週間)です。HPの記述については、語弊を招きかねないと思いますので、処理速度ではなく処理能力に変更致します。
Q. ミミズコンポストは通常の堆肥に比べてどの程度質が良いのか?
A.当団体にて、発芽試験を行ったところ、発芽促進作用は確認できました。 今後の長期休暇を利用して、栽培試験を行い、化学肥料との生育の比較を調査する予定です。(他の堆肥との比較は今後検討します) 結果が分かり次第、Twitterで報告しますので興味がありましたらフォローの方、宜しくお願い致します。 また、参考リンクを貼っておきますので、宜しければご確認下さい。
A.当団体のミミズコンポストは、家庭用コンポストと比べ、かなり大きいサイズですが、段構造にはなっていません。いわゆるミミズ箱と呼ばれる元祖のタイプのものです。
一般に、箱の平面の面積が大きいほど中身が空気に触れやすく、加えて、生ゴミをいれるスペースも増えます。さらに、シマミミズは上に向かって食料を探す習性があることもあり、深さを高くするよりも平面の面積を大きくした方が、ミミズの食欲が増します。従って、当団体のような中規模コンポストでは、生ゴミの処理能力が高いです。
また、作業もしやすく、ミミズも増えやすいように感じます。
この中規模ミミズ箱の欠点としは、できた堆肥を上からしか取り出せないので一番下にたまった堆肥を取り出す作業がかなりの重労働であることや、取り出す堆肥からミミズを除く作業が余分に必要なことがあります。また、堆肥も熟成したものと、そうでないものが混じった状態になるのを出来るだけ避けるために、堆肥を取り出そうと計画している箇所にはしばらく生ゴミを投入できないのも、デメリットですね。
一般的な家庭用コンポストではこの問題を段構造にすることで解決しています。キャノワームのものを例に説明します。このコンポストの一番下の段には、水分がたまる液肥トレーがあり、その上には底がザルの目になった3段の生ゴミトレーが重なります。各段の底は、ミミズや微生物は行き来出来て、堆肥は落ちないようなメッシュになっています。ミミズはトレーの中で、食べ物を探して上の方へ移動し、生ゴミを処理した後、下の方に糞をします。そして、新しい生ゴミを投入するに伴って、ミミズは次々と上の段に進んでいき、最終的には一番下の段にはミミズがほとんど見られず(諸説あり)、かつ熟成した堆肥がたまります。そのため、キャノワームのコンポストは、従来のミミズ箱に比べ、堆肥が取り出しやすくその質も良い、堆肥にミミズはほとんど混じらない、堆肥を取り出すために、生ゴミ投入をストップさせる必要がない、排水性が良いなどの点で優れています。また、箱が一杯になったらという堆肥を取り出す目安がありますので、初心者でも簡単に作業を行えます。さらに、狭いスペースでも多重構造を取ることで空気を多く内部に取り込め、生ゴミ処理を安定しやすくしているのではないか、と個人的には考えます。
従って、家庭用のコンポストがなぜ段構造をとるのかについては、このように、一般の方でも管理を上手に行うことができるようにするためだと思います。
他にも段構造をとるフロースルー型のミミズコンポストもあります。初心者には管理が難しいですが、良ければ調べてみて下さい。
Q. ミミズ堆肥では、なぜ通常の70度程まで発熱する発酵が起こらないのですか?ミミズの食作用により好熱性細菌が減少し、特定の微生物のみが選択されるからと考えても良いのでしょうか?
A.結論から申し上げますと、ミミズコンポストにおいて、一般的な好気性微生物のみを利用した発酵法と比べて70℃まで上がらないのは、 ①基質の違い ②放熱量・通気量の違い ③用いる好気性微生物の違い が主な要因として挙げられます。ご質問内にありました「ミミズの食作用により好気性細菌が減少したことで発酵しなくなった」というのは誤りかと思います。
まず、①について、これが一番大きな要因かと思うのですが、 好気性微生物のみを利用した発酵法では原料に含まれる易分解性有機物を微生物が分解することを継続していくことで発酵熱が蓄積していった結果、高温状態となります。 ミミズコンポストでは、 生ゴミを一回に入れる量が好気性微生物のみを利用した発酵法よりも圧倒的に少ないことに加え、ミミズ自身による分解もありますので、その発酵を維持するのに必要な基質が少ないことが原因として挙げられれます。
次に、②についてですが、好気性微生物のみを利用した発酵法では、切り返しという作業を1週間に1~2回行うことで、適切な通気量を管理します。そのため、好気性発酵が効率よく進み、発酵熱も蓄積しやすいです。ミミズコンポストでは、基本的には、ミミズの移動によって 内部がかき混ぜられ通気量が 多く、また堆肥規模も小さいため、発酵熱が放熱しやすいのではないかと思います。
最後に 、③についてですが、好気性微生物のみを利用した発酵法では、好気性微生物の中でも、放線菌を含む、特に分解力の高い有用な微生物が用いられることが多いです。さらに、企業によって、発酵ステージによって活躍する有用微生物を選抜し、配合することで、効率よく温度を上げている場合があります。 ミミズコンポストでは、温度が上がりすぎると、セールスポイントであるミミズが死んでしまいますので、このような有用微生物は使いません。