研究内容

橋渡し研究とは

トランスレーション(橋渡し)研究とは
新しい治療薬・治療法やサプリメントの候補物質が見つかっても、すぐに患者さんに適用される訳ではありません。
臨床応用までには長い道のりがあり、その効率化、すなわち一日も早い臨床応用の実現が期待されています。
トランスレーション研究とは、人のモデルとなる動物の病気から得られる様々な情報やデータをもとに、
動物から人への橋渡しを行う研究を行うもので、より人の臨床に近い研究成果を社会に還元することを目指します。

研究テーマ

私たちの研究室では、動物やヒトを苦しめる様々な病気について、免疫学的・分子生物学的な手法を利用して、発症のメカニズムと有効な治療法の開発を目指して研究を進めています。主たる研究テーマは、アレルギーと腫瘍です。また最近では、工学部生命工学科の先生方との共同研究により、イヌ角膜再生医療の確立にも取り組んでいます。

1) アトピー性皮膚炎の病態解析
1)NC/Tndマウス
1)NC/Tndマウス

松田教授らが世界で初めて報告したアトピー性皮膚炎自然発症モデルマウス(NC/Tndマウス)を用いて、病気の発症メカニズムの解析や新薬の評価試験を実施しており、アレルギー新薬・スキンケア商品・化粧品・サプリメント・食品などの開発に多くの実績を有しています。(東京農工大学で繁殖と維持を続けてきたNC/NgaTndマウスは、2010年12月より、正式にNC/Tndマウスとして認可を受けました。東京農工大学で維持されているNCサブラインは、NC/Tndマウスとなります。)

 

2) 肥満細胞の腫瘍化メカニズムの解明
2)イヌ肥満細胞腫
2)イヌ肥満細胞腫

肥満細胞の基礎研究を実施してきた実績をもとに、イヌやネコに多発する肥満細胞腫の遺伝子や原因分子の探索を行っています。本学動物医療センターでは肥満細胞腫専門外来を担当し、外科手術・薬物療法・遺伝子検査などの幅広い先端的治療を実施しています。

 

 

 

3) 疾患モデル動物の行動解析と病態の評価
3)歩行異常診断
3)歩行異常診断

アトピー性皮膚炎のかゆみ行動、あるいは関節リューマチなどで見られる歩行異常、腫瘍や神経疾患などの痛み行動など、病勢評価のための疾患特異的な行動の定量化を可能とする新システムを開発し、有効な新薬開発に貢献しています。

 

 

 

 

4)イヌ角膜再生医療への取り組み
4)イヌ角膜再生治療
4)イヌ角膜再生治療

外傷などに起因するイヌの難知性角膜疾患について、これまであまり有効な治療法はありませんでした。私たちの研究室では、本学工学部生命工学科の先生方とともに、拒絶反応の起こらない自己上皮シートの作成とその移植によるイヌ角膜の再生治療法を開発し、臨床応用へ向けて努力を続けています。