先輩たちからのメッセージ


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新卒研生採用情報


学部4年 B4 富樫 隆久

-先輩達からのメッセージ 2014、最後は富樫隆久さんにお話をうかがいます。-

-お忙しいところ、お時間をいただきありがとうございます。

今回は富樫さんの研究生活や体験談をもとに、3年生へ向けたメッセージをお聞きしたいと思います。

まずは富樫さんの研究内容と、富樫さんが考える研究とは、についてうかがわせてください。-

こんにちは、学部3年生向けメッセージのトリを務めさせていただく富樫です。
私は、テラヘルツ波帯における「電磁メタマテリアル」の研究をしています。

メタマテリアルなんてあまり聞き慣れない言葉ですが、
「メタ」とはギリシャ語で「超」を表す言葉であり、直訳すると「超物質」となります。

物質を「超」えた「超物質」。
名前を聞いただけでもわくわくしませんか。

その中で私はテラヘルツ波帯レンズの研究に取り組んでいます。

レンズと聞くと中学の理科の実験で使用したレンズや、
メガネのようなガラスなどの「材質」で構成されたレンズを思い浮かべるかと思います。

しかし、私の研究しているレンズは少し違うんです。

研究に取り組んでいるレンズは「材質」を用いず、金属の「形状」や「配置」で、任意な「材質」の特性を「設計」し、テラヘルツ波を制御します。

具体的には、まず金属板を隙間を空けながら積み上げていき、これを凸レンズ形状に成形します。

次に何をするかというと、
ちょうど窓のブラインドのスリットを開閉し、
光の透過具合を調節するように金属板を傾けます。

そこに電磁波が入射すると、
それぞれの金属板の間を通る電磁波に経路差が生まれ、
電磁波を一点に集光させることができます。

さらに、この金属板の傾き具合をまたブラインドのように変化させると、
集光の位置を変化させることができます。

すなわち、傾き具合の変化だけで、屈折率を比較的容易に変化させることができます。

「材質」を毎回変えて一から作り直すのではなく、
傾きを変えてやるだけで、欲しい屈折率を持ったレンズが手に入ります。

マイクロ波帯では様々な研究が進めらていますが、
テラヘルツ波帯では試作の実現性も考えて設計することが大切です。

これが私の設計するレンズの面白いところです。

このレンズの設計は主に電磁界シミュレータを用いて行っています。

研究は自分の目標を高く設定し、日々の研究に向かう姿勢がとても大切です。
うまくいかなくてもそこで諦めず、
粘り強く答えを求めることで良い成果につなげられるのだと思います。

どうしてもうまくいかず、つまずいてしまったときに、
仲間に助けを求められるのが研究室の良いところだと思います。

仲間とのディスカッションを通し、自分にはない視点や知識を取り入れることで、
問題解決への大きなヒントを得ることも多々あります。

仲間と協力をすることで解決の糸口をつかむことができるのです。

私たちの研究室では常にチームを意識していて、
お互いに協力しあいながら、日々研究に取り組んでいます。


-仲間と切磋琢磨して研究に取り組める雰囲気が鈴木研究室にはあるのですね。
ところで、富樫さんは学部4年にもかかわらず既に国内の学会で発表をされたそうですが、
学会を経験して感じたことを教えてください。-

はい、 私は9月に京都の同志社大学で行われた
応用物理学会にて研究の成果を口頭発表させていただきました。

鈴木先生をはじめ、スタッフの方々や先輩方、
同期など多くの人の協力があったからこそだと思っています。

研究の成果を出すまでには、試行錯誤の連続でしたが、
研究を計画的に遂行する方法や問題への対処の仕方、
内容を伝えるための実践的なスライドの構成方法などを身につけることができたと思います。

さらに、こうした学会という大きな舞台の、
大勢の前で発表を行うことはなかなか経験できることではありません。

発表終了後は、その地域の観光をしたり、美味しいものを食べたりして疲れを癒します。
眠気と戦いながら(笑。

こういった教養を養う一環としての観光を通し、その土地の文化を感じ、
知的教養を高められることもまた、学会で発表する大きな魅力のひとつだと思います(笑。

しっかりと経験を積み、技術を身に着けることで、
かなり高いレベルで勝負することができます。

他にも国際会議での発表や
査読付き英語論文投稿などを積極的に狙えます。

現在、私もシンガポールで行われる国際学会
META2014での発表を目指しています。


-京都の次は世界ですか。
普段の研究生活での何か工夫などはありますか?
-

鈴木研究室には部屋が4つあります。

2つは普段研究を行う部屋です。
1つは解析やディスカッションなど幅広い用途で使用されるお茶室。
この他に、鈴木研究室には実験室があります。

鈴木研究室の実験室は研究室から少し離れた場所にあります。
ミスを防ぎ、また研究のスピードを保つため、
実験室にいるときはパソコンやi Padを用い、
常に研究室と連携を取れるような仕組みになっています。

先日作成した「実験室紹介」もぜひご覧ください。


-ありがとうございます。次に富樫さんの将来の目標を教えてください。
-

社会の中心で活躍できる、求められる人間になりたいです。
研究でも自発的に行動をしていき、リーダーシップ力を養っていきたいと考えています。

社会に出たときに他人とは異なる切れ味のある人間になれるよう、日々研究を通して自分を磨いていきたいと思います。


- ありがとうございました。最後の質問になります。富樫さんが、新しい仲間に期待することは何ですか?-

野心です。

常に大きな目標と、「やってやる」、という気迫をもって
研究にチャレンジしてほしいですね。

諦めず、ぶつかっていってほしいです。

そうすることで、きっといい結果もついてきますし、
私達先輩も刺激を受け、皆さんと研究するのが楽しみですね。

また、研究+アルファ、研究室のアクテビティ、学会の学生活動、
講演会や展示会などへの出張などのメリハリをつけ、研究室での生活を楽しんでほしいですね。

私たちは野心あふれる君を待っています!

 

富樫 隆久
1991年山形生まれ。2013年4月に鈴木研究室配属。テラヘルツ波帯レンズの研究に従事。現在、5月にシンガポールで行われる国際会議を目指して研究に取り組んでいる。研究室マラソン部二大エースの1人。