ウズベキスタン共和国では、シルクロードの伝統産業として、養蚕は今日も連綿と受け継がれており、中国、ブラジルにつぐ世界第3位の繭生産国です。
クワ(Morus alba L.)は、蚕飼料と果実の生産を兼ねて、境界木や街路樹として植えられてており、ところどころで大木も見られます。
しかし、ソビエト連邦崩壊以降、養蚕や製糸の技術的進歩は停滞し、質量ともに国際競争力ある生糸・絹織物はほとんど生産されていません。現在、中国から輸入される低級蚕種から生産された繭の多くは廉価で中国に輸出されており、農家は養蚕への期待を徐々に失いつつあります。
一方、伝統的なアトラス絣織を外国人観光客等の土産用に改良し拡大生産できれば、農家の収入安定と生活環境向上が期待できるとの考えました。
そこで、日本の養蚕技術体系を現地に適応させ、小規模飼養向け蚕の改良と特徴ある絹製品を開発することで、小農特に老人婦女子の就労機会を創出し、農家収入の安定確保を目指すこととしました。
そのためまず、フェルガナ地域農民を対象に、養蚕を主体とした農家副業技術の改良・向上に向けた普及活動を行い、生産物の販売モデルを確立したいと思います。
これによって、農民による自立的な生計向上が実現すれば、諸条件の似かよった隣接地域での活動発展と高品質蚕糸の安定生産につなげることができます。将来は付加価値の高い「新シルクロード」絹製品の輸出を目指したいと思っています。
この結論に基づき、ウズベキスタン養蚕研究所や本学の養蚕専門家、クワの栽培と利用に関連する作物、灌漑、食品加工、木材加工、植物病理、病害虫の諸専門家にはかり、3年間の草の根技術協力事業を立案しました。
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