研究室での生活の中心は「実験」です。まず、さまざまな高分子を合成します。例えば、エチレンオキサイドの重合によって、両末端に官能基を導入したポリエチレングリコール(PEG)を自在に合成できるようになってもらいます。そして、自分で合成した高分子をいろいろな形態(ゲル、粒子、シートなど)に加工して、「材料」にします。そ
の材料の特性も、自分で調べます。そして、将来的にバイオマテリアルとして使えそうな材料設計法を考えます。一人一人が責任を持って、「合成から材料化、そして物性測定まで」じっくりと検討します。未来の医療に貢献できるバイオマテリアルをぜひ一緒に作りましょう。




研究室では、毎週木曜日の16:30からセミナーを開催しています
写真左・真ん中。研究報告2人、文献発表1人、合計3人が発表します。だいたい2時間ぐらいです。研究報告では、およそ2ヶ月分の実験結果を報告してもらって、今後の実験方針をみんなでお互いアドバイスします。

また、週報を作ってもらっています。金曜午後〜土曜日夕方ごろまでの、各自が好きな時間に提出してもらいます。村上が不在時にはメール送信でもOKですし、土曜日に大学に来なくても自宅からメール送信でもOKです。週報の別名は「今週の日記」にしています。「両面印刷で2ページ以内」で、「今週やったこと・考えたこと(実験)」「今週やったこと・考えたこと(実験以外で)」「来週の予定・目標(実験でも生活でも)」の三つの項目を書いてもらいます。最初の「今週やったこと・考えたこと(実験)」では、実験の途中経過や失敗してしまった実験を語ってもらいます。次の「今週やったこと・考えたこと(実験以外で)」では、今週遊んだことや、観た映画や、欲しい物や、なんでも書いてもらっています。最後の「来週の予定・目標(実験でも生活でも)」では、来週の予定を語ってもらっています。文字が読めないように遠目に撮影した週報の例を、
写真右に示しました。左の週報の学生さんは、買いたい自転車を語りまくっています。右の週報の学生さんは、食べたホールケーキを語りまくっています。失敗した合コンの報告を書く学生さんもいますし、恋愛相談を書く学生さんもいます。週報は、村上と学生さんの一対一のコミュニケーションツールです。全国の多くの研究室で週報の習慣はあると思いますが、そのほぼすべての週報では「研究のこと(実験結果)」を報告するんだと思います。でも村上研の週報では、書く内容は、ある意味なんでもいいんです。実験がやる気が出なかった週は、その週にやった別の楽しいことを語りまくってくれてOKです。日本一ゆるい週報を目指しています。




実験したら、学会で発表しましょう!村上研では、高分子学会や日本バイオマテリアル学会で発表しています。「一つの学会に限られた人数の学生しか連れて行かない」先生も多いと思いますが、村上はそれはあまり好きではありません。選ばれた学生さんはがんばって選ばれなかった学生さんがやる気をなくす・・・そんな研究室を多く見てきました。そこで村上は、2006年に研究室を立ち上げて以来ずっと、「学会には(大学院生を)全員連れて行く」ということを基本的な方針にしています。逆に言うと、「全員連れて行こう!」と思えるぐらいのレベルに学生さんたちを育てたいなぁ、と思っています。みんなで一緒に準備をがんばって、みんなで一緒に地方に行って、みんなで一緒に発表をがんばって、みんなで夜は食べたり飲みまくりましょう。




研究室旅行は楽しいです。この9枚の写真は、2014年の研究室旅行の様子です。美味しい物を食べまくって、温泉に入ってのんびりしましょう。村上研では、今までいろいろな所に旅行に行きました。2008年度は箱根、2010年度は河口湖、2011年度は伊豆、2012年度は長野、2013年度は日光、2014年度は西伊豆、2015年度は群馬四万温泉、2016年度は奥日光湯元温泉に行きました。研究室旅行で撮った集合写真は、こちらのページにまとめてあります。




昔から村上は、「いつか研究室を立ち上げたら、学園祭で屋台を出す研究室にしたい!」とずっと思ってました。そんなわけなので、学園祭に屋台を出しています。屋台を出すのは楽しいです。前日準備(食材切り、とか)も含めて、学園祭期間の「4日間(前日準備+3日間)」は研究室は活動しません。

・・・ということを毎年やっていたのですが、最近は工学部で学園祭が開催されなくなったので、この活動は中止になっています。



多くの学生さんは大学院(マスター)まで進学します。そんなマスターの2年生の終わりに近づくころ。もう学会で何回も発表したし、研究室旅行も楽しかったし、屋台も出したし、飲み会で美味しいものをたくさん食べたし、飲みまくったし・・・そんなことを振り返る時期です。あとは大学院を修了するだけです。普通は修論を仕上げて終わり、になります。学科の他の研究室を見ていると、学生さんたちは1〜3月ごろに修論を頑張って書いています。ところで、村上は修論はまったく重視していません。この「重視していない」というのは、3月の大学院修了時まで頑張るのは意味がない、という意味です。村上研では、マスター2年の11月から修論を書き始めてもらって、12月には仕上げてもらっています。その時期までのデータをまとめれば充分です。そして年が明けた1月からは、M2の全員に英語論文の執筆に挑戦してもらっています。世界に向けて発表しない限り、実験の成果は「ゼロ」です。「大学の修論」を仕上げることを目標にするなんて、とっても小さなことです。「学科」「大学」なんて小さな世界を見ないで、せっかく社会に出る直前なんだから「世界」を見ましょう。ぜひ英語で論文を書いて、世界に向けて投稿しましょう。村上研では、M2の終わりに全員が英語の文章を仕上げてもらっています。どんなに英語が苦手な学生さんでも、学部のときの成績が悪かった学生さんでも、みんな仕上げてきます。英語のレベルは正直なところ十人十色ですし、文法的におかしい英文もとても多いです。でも全員がんばって挑戦した結果なので、学生さんたちが書き上げた英語論文の草稿は宝物になる原石みたいにとても価値があるものだ、と村上は心底思っています。原石を磨いて本当の宝物にするのが指導教員としての村上の役割です。卒業まで何回か添削のやり取りをしたり、みなさんが大学院を修了して社会に出たあとに英文を村上がコツコツと手直ししたりして、世界に向けて投稿します。



学生さんに対しては、「せっかくバイオマテリアルとか医療に興味を持って研究室に入ってきてくれたんだし、学生さんに研究パートナーになって欲しいなぁ」という思いでいつも指導しています。具体的に言うと、学部4年生のときはいろいろ教えます。大学院に進学してマスターの1年になったら、こういう実験がしたいです! と意見をたくさん言えるようになって、マスター2年になったらさらに自分の判断で研究を進められるようになってほしいと願っています。そこまで成長すれば、みなさんは立派な「村上の研究パートナー」です。指導教員と学生の上下関係を守り続けるのではなく、マスターの2年になったら「同じ研究を追い求めるパートナー」になって欲しいです。そこまで成長してから社会に出て欲しいです。そこまで成長すれば、自分でなんでもやれる力が付きます。いろんな学生さんたちが研究室に入ってきて、みんなで一緒に実験や研究に一緒に取り組んで、日々いつもたくさん楽しんで、たくさん思い出を作って、そしてみんなが育てている「チーム(研究室)」を作ることができればいいなと思っています。チームの枠組みを頭ごなしに示して、学生さんたちをその枠の中に収めようとするような、そんな教員にはなりたくありません。
チームの枠組みを一緒に作りましょうそんな意識で、学生のみなさんと接したいですし、それが村上の研究指導方針です。