根幹技術

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コア技術1

 SCPタグは、πBIOのコア技術である。πBIOでは従来のワクチンとは異なり、ウィルスそのものではなく、大腸菌で発現し、高純度に精製した ウィルスの一部であるタンパク質断片をワクチンの抗原として用いる。大腸菌で発現したタンパク質断片は無機分子であり、毒性もなく、従来のワクチンより、 安全性、価格や開発速度の面で圧倒的に有利である。しかし、大腸菌で発現した組み換えタンパク質の免疫原性は一般的に弱く、ワクチンに使用することは 難しいとされている。そのため、現在まで大腸菌で発現したタンパク質をワクチンとして実用化された例はない。SCPタグはπBIOの中心的技術であり、 中分子量のタンパク質の免疫原性を飛躍的に向上させ、中和能を有する血清の生成を誘導するための技術である。 πBIOにはSCPタグの他のウィルスタンパク質を構造や機能を維持した状態で作成する手法やモノクローナル抗体を迅速する手法が含まれている。

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コア技術2

 ロナウィルスを例にして図示している。ウィルスが宿主細胞に結合する部位であるスパイクタンパク質のさらに部分的な部位である RBD(Receptor Binding Domain)のみをタンパク質工学的に作製。このRBDに数残基のペプチドからなるSCPタグを付加することにより、免疫原性を増強し、免疫記憶を誘導することが可能である。 抗RBD血清は中和能を有するため、ワクチンシーズ候補となる。

πBIOプラットフォーム

ィルスを構成するタンパク質を断片化し、タンパク質工学を利用して、その免疫原性を増強させ、医薬品などに活用する基盤技術

  • 安全性:ウィルスそのものでなく、その一部のタンパク質を用いるため、安全性が高い
  • 価格:大腸菌により、天然構造を維持した状態で、安価に大量発現が可能
  • 開発期間:πBIOにおいて、組み換えタンパク質の生成・物性解析・免疫学的解析をプロトコル化しており、短期間で効率的な開発が可能
  • 効果:RBDにはエピトープ領域(抗体認識部位)と宿主細胞の受容体と結合する部位が存在し、ワクチンの抗原に使用すると中和能を有する免疫応答を誘導する可能性が高い
  • 取扱:冷凍保存が可能であり、容易
  • 用途:プラットフォーム技術(πBIO)として、様々な用途に活用可能

活用可能な用途の事例

  • ①サブユニットワクチン:サブユニットをワクチンシーズとして短期間でワクチン開発する。
  • ②mRNA/DNAワクチン:免疫原性を増強させたサブユニットのレベルで遺伝子配列を設計し、mRNA/DNAワクチンに組み込む。
  • ③モノクローナル抗体:サブユニットワクチンの開発の副産物として産生されるモノクローナル抗体を、抗ウィルス剤や検査キットに応用する。

特許権等知的財産権の状況

  • ①サブユニットを大腸菌により安価に発現・精製し、品質・安全管理を確保する技術
  • ②サブユニットの免疫原性を増強する技術

  • ①特許第6986261号:「組換ポリペプチドの発現量及び収量の向上方法」、出願日:2017年12月22日
  • ②特許第5273438号:「ペプチドの溶解度計算方法、及びそれを用いたペプチドタグの設計方法とタンパク質の合成方法」、出願日:2008年1月11日
  • ➂特許第7194442号:「抗原組成物」、出願日:2018年8月6日