生物は進化の過程で、外敵から身を守り、生存に必要な機能を獲得するために、精巧な硬組織(生体硬組織)を発達させてきました。
亀の甲羅、貝殻、昆虫や甲殻類の外骨格はその代表例であり、また動物の歯や鳥の嘴のように、食物獲得のための特殊化した器官としても機能しています。これら生体硬組織は、地球上に豊富に存在する元素と細胞が合成する有機物から構成されていますが、その構造と機械的特性は分子レベルで緻密に制御され、各生物の生態的ニーズに応じて最適化されています。
このことから生体硬組織は、数億年にわたる自然選択の結果として洗練された、まさに生物進化が生み出した最先端材料と言えます。
当研究室では、生体硬組織の形成機構を分子・細胞レベルで解明し、その仕組みを利用した革新的材料創製法の開発に取り組んでいます。自然界の巧みな設計原理を理解し、次世代の持続可能な材料開発への道を切り拓くことを目指しています。