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1. 人の手で作ることのできるもの ⇔ 生物が自然に作るもの
・ 自然界では分子が自己集合し、精緻なナノ構造を低エネルギー(低温、常圧下)で創る
・ 工学的には、半導体微細加工技術などを用いることで制御されたマイクロ構造を造ることができる
・ Missing areaとなるナノスケール以下では、生物(自然)が生みだすような構造を造ることが難しい
・ 本研究室では、ナノスケールでは生物の創る構造を利用し、その構造を人工物に埋め込むことでオング
ストロームからメートルサイズまで制御された構造を創る
2. 人工細胞膜(脂質二分子膜)の作製と膜タンパク質
・ 細胞膜の構成分子であるリン脂質は水中で親・疎水相互作用により、自発的に脂質二分子膜を形成する
・ 脂質二分子膜(細胞膜)中には、様々な機能を持つ膜タンパク質が存在する
・ 膜タンパク質は細胞内外の物質、エネルギー、情報のやりとりを担う
・ 膜タンパク質はイオン・薬剤の取り込み排出、匂い、味、光などの受容、機械的応力の感受を行う
3. MEMS(MicroElectroMechanicalSystem)と膜タンパク質
本研究室では、、、
・ 人工の細胞膜を形成するプラットフォームを半導体微細加工技術により作製する
・ 脂質二分子膜中に再構成した膜タンパク質のシグナルを計測するシステムの構築
・ 生体模倣型のバイオセンサ、創薬、制御されたナノ空間内での物理化学研究に用いる
・ そのために分子・タンパク質・DNA/RNA・脂質・細胞・半導体微細加工・マイクロ流体技術を用いる
4. マイクロサイズの加工技術(リソグラフィー、ミリング)
・プラズマエッチングやUV露光、アルミ蒸着など、フォトリソグラフィーによる微細加工を行う
・マイクロ切削(ミリング)加工や3Dプリンティングにより、CAD設計したデザインを樹脂に加工する
・段差顕微鏡による加工精度の確認を行う
5. 液滴接触法:マイクロドロップレットの接触による人工細胞膜形成
液滴接触法に関する総説(PDF)
・チャンバーに油(脂質を含む)、水を順に入れると液滴表面に脂質の単分子膜が形成される
・二つの液滴を接触させることで,単分子膜が接触し脂質二分子膜を形成させる
・脂質の組成を調整し,生体の細胞膜を模倣した人工細胞膜を簡便に形成可能
6. ナノポアセンシングによる電気的一分子検出
センシングに関する総説(PDF)
・脂質膜にナノポア(直径 ≈1 nm)が形成されるとイオンの通過による電流が流れる
・分子がナノポアを通過すると阻害電流により、一分子の挙動が観測できる
・DNAがアンジップしながらナノポアを通過すると、より長い間電流が阻害される
・薬物、毒物、診断マーカー分子の検出により、食品検査、病理診断などへの応用が期待される
7. ナノポアを用いた電気的分子コンピューティング
・DNA分子を演算素子とするコンピュータであり,配列や構造を設計し,既存のコンピュータが苦手とする
超並列計算が可能
・これまで計算結果を得るにはPCRによるDNA増幅や蛍光による検出が必要であったが,本研究室では
ナノポアと組み合わせDNA分子を電気的に検出することで検出時間の短縮を実現
・ナノポアを用いることでDNA分子を一分子レベルで検出し,さらに一分子レベルで隣のドロップレットへ
輸送する
8. miRNAによるがん診断システムの構築
・ノンコーディングRNAの一種であるmicro RNA(miRNA)は, 癌になると過剰発現することが知られている
・癌の種類によりmiRNAの発現パターンが異なるためパターンの認識が求められている
・DNAコンピューティング技術とナノポア計測を組み合わせることで癌特異的に過剰発現するmiRNAを検出
することができる
・癌の簡易診断への応用が期待される
9. 様々なナノポアの特性評価
・センシングに使われるナノポアには、様々な種類の生体ナノポアと固体ナノポアがある
・様々なナノポアの特性を評価することでセンシングに最適なポアを探求する
・直径の大きなナノポアを用いることで、病理診断マーカータンパク質など比較的大きな分子の高感度な検出が
可能
10. 二つの電流値を持つ人工イオンチャネル
・生体内には、二つの孔を用いて膜電流を制御するイオンチャネルが存在する
・この複雑な機構を再現するため、金属有機多面体分子(MOP)を用いた。立方八面体構造のMOPは正三角形、
正方形の二種類の入り口を持つ・MOPのチャネル電流計測の結果、イオンが通る二つの入り口それぞれで
異なる電流値を示すことが明らかになった
・二つの異なる電流値を示す人工イオンチャネルの合成と詳細な機能評価に世界で初めて成功した
11. 脂質膜へのペプチドの作用と電気計測
・抗菌性ペプチドは菌類の細胞膜にポアを形成し菌の細胞を破壊する
・抗菌性ペプチドのポア形成を電気計測を用いて測定する
・電気シグナルをその形状をもとに分類することで、膜上でのペプチドの挙動を考察する
・ペプチドによるポア形成機構の解明や薬剤への応用が期待される
12. 膜ゲートとしてのナノポア利用と分子ロボットへの応用
・分子ロボットを構築するためには、 1)知覚 2)思考・判断 3)運動 の3つの要素が必要
・ナノポアタンパク質は、分子ロボットにおいて、知覚を行うセンサーとしての機能を担う可能性を秘めている
13. マイクロ流体デバイスによるハイスループット計測、ドロップレット
・液滴接触法は、脂質単分子膜が形成された油中水滴を接触させることで脂質二分子膜を形成する方法で、脂質二分子膜の
周囲に脂質分子が豊富に存在するため安定した脂質二分子膜を形成することが可能。
・本研究では、この液滴接触法のストラテジーをマイクロ流路に応用することで積層型脂質二分子膜の形成を行った。
・まず、脂質溶液と水溶液を5つの流入口を持った流路に流し5層流を形成。この時に水溶液と脂質溶液の界面に脂質単分子
膜が形成される。
・その後、脂質溶液の流量を制御し、脂質溶液層の幅を狭めていくことで、脂質単分子膜同士を接触させ脂質二分子膜を形成。
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