Kameda R.G. Projects (1) Bubble Dynamics & Bubbly Flows


 それでは,第1の柱,気泡に関する研究から紹介しましょう.

 気泡を含んだ液体やミスト(霧)を含む気体など, 異なる2つ以上の相(気相,液相,固相)を系の中に持つ流れを, 「混相流 (multiphase flow)」と呼びます. すぐにわかると思いますが,気体だけ,または液体だけ,という状態(単相流)に比べて, 混相流は流れの様子がかなり複雑になります. そこで,この複雑な流れの様子を解明しようとして, 現在,多くの流体力学研究者が混相流に挑んでいます. 混相流は,「乱流」や「化学反応を含む流れ」とともに, 現代流体力学界におけるもっともホットな研究課題です.

 亀田研究室では,混相流の中から,特に,バブルを取り上げて研究を進めています. ポンプなどの流体機械では,内部の圧力変動によって気泡が発生することがよく起こります. この現象を「キャビテーション (cavitation)」と呼びます. 液体中に少量でも気泡が含まれている場合, その流れ構造は劇的に変化し,流体機械の効率が大きく変化します. また,気泡が膨張・収縮運動を起こすために, 機器全体が大きく振動したり,気泡消滅時に発生する非常に強い衝撃波のために, 機器の表面がボロボロになる,といった現象もよく見られます.

 キャビテーション現象を明らかにするためには, 圧力変動にともなう多数の気泡の運動の様子を詳しく調べる必要があります. 一方,多数の気泡が存在すると,その中を伝わる圧力波の構造も大きく変化します. 本研究室では, 現在,圧力変動にともなって起きる個々の気泡運動をミクロな視点から調べています. 同時に,気泡を含む液体中における圧力変動の特性をマクロな視点から調べています.

 一見ベーシックで地味な研究のようですが, ベーシックであるがために,研究には広がりがあります. 最近では, 火山噴火のダイナミクスに対する気泡運動の影響を調べたり, 金属板への気泡の付着挙動を制御するための手法を考えたり, はたまた,気泡と液体の流動の様子を同時に調べるための 三次元カラー画像処理を利用した流速計の開発も手がけています. バブルの研究は,機械工学の枠にとらわれずにテーマを選べることが魅力です.


研究室の概要 高速空気力学に関する研究 研究室の一年

亀田研究室トップページへ戻る