Kameda R.G. Projects (2) Gas Dynamics


 亀田研究室のもう一つの柱は,超音速流れを中心とした高速空気力学に関する研究です.

 コンコルド (Concorde) という旅客機を知ってますか?  コンコルドは,現在就航している唯一の超音速旅客機で, 今から25年前に,英仏共同で開発されました. しかし,このコンコルド,当時の金額で8000億円の開発費がかかったにもかかわらず, たったの17機しか製造されませんでした. その優美な姿とは裏腹に騒音が大きく, NOxやCO2の排出量も多く, さらに航続距離が短い(太平洋路線に使えない)という大問題を抱えていたためです. このため,コンコルドは商業的には失敗に終わりました.

 最近,コンコルドに代わる新しい超音速旅客機(supersonic transportation: SST)の 開発機運がにわかに高まってきました. 四半世紀を過ぎたコンコルドにそろそろ寿命が近づいたことが最大の理由ですが, さらに性能の良いものを開発すれば, 今は眠っている巨大な需要を掘り起こせることも重要な理由です. アジア路線を中心に1000機前後の潜在需要がある,との説もあります. そのため,2010年ごろの就航を目指して,世界各国で開発競争が始まっています.

 2兆円以上と言われるSSTの開発費用は, 一国の負担をはるかに越えています. そのため,国際的な共同開発体制の枠組みづくりが水面下で進んでいます. ところが,日本技術陣は,超音速機開発の経験がありません. 日本が,共同開発に主体的に参加するためには, 10年以上遅れている,と言われる技術力の向上が必要不可欠です.

 SST開発の鍵は,コンコルドの持つ環境問題を克服することです. そのため,第1に,画期的なエンジンが求められます. 第2に,超音速機特有の騒音「ソニックブーム (sonic boom)」を劇的に低減する必要があります. 本研究室では,現在,エンジンの空気取り入れ口(インテーク)の開発, と,ソニックブーム低減手法の確立に関する研究を進めています. また,これらの研究をすすめるための装置の開発研究, 感圧塗料を用いた新しい圧力計測法, マルチカラーシュリーレン法など流れの可視化技術に関する研究も行っています. われわれは,これらの研究が,日本技術力の向上に役立つことを目指しています.


研究室の概要 気泡運動に関する研究 研究室の一年

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