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環境に配慮した灌漑の技術をカンボジアの次世代に伝えたい

トライ・ソパル カンボジア出身

東京農工大学を留学先に選んだのは、農学分野において長い歴史と豊富な研究実績がある大学だったから。また、在籍するカンボジアの大学に農工大を卒業した教授がいて、STEPプログラムをすすめられたこともきっかけになりました。

現在は、府中キャンパスから徒歩10分の距離にある学生寮『府中インターナショナルハウス』に滞在しています。タイ人、インドネシア人、ベトナム人、中国人、ロシア人など、さまざまな国からやってきた留学生との共同生活はとても楽しいです。また、キャンパス内のGlobal Cafeに行くと日本人の学生とも交流できます。ただ、多くの日本人学生はシャイなので、コミュニケーションに苦労することもあります。でも友達になれば、お互い助け合いながらコミュニケーション問題は何とかなります。

STEPプログラムでは、環境汚染から材料工学、カオス理論まで農学・工学の幅広い分野の授業を英語で受けることができます。また、授業以外の時間は希望する研究室でデスクを借りて、独自のテーマで研究活動をすることも可能です。私は水利環境保全学が専門の加藤亮先生の研究室で、実験やフィールドワークに参加しています。この研究室には、カンボジア人2名、インドネシア人2名の留学生がおり、ちょっとインターナショナルな雰囲気があります。加藤先生はアジアでのフィールドワークの経験が豊富で、英語も堪能なのでコミュニケーションに困ることはありません。研究室のメンバーもとてもフレンドリーです。

私はここで、水田の灌漑や農業用水についての専門知識を身につけたいと思っています。農工大の魅力のひとつはなんといっても充実した設備です。カンボジアの大学では見かけないHPLC(高速液体クロマトグラフィー)分析機などを使って、高度な実験が日常的にできます。また、千葉県の印旛沼での灌漑用水の調査に参加する機会などもあり、将来役立ちそうな実験や分析のスキルも身につけられそうです。

農工大に来てから、この大学で博士課程まで進み、カンボジアの大学の教授になるという夢ができました。最先端の技術に触れ、視野が広がったことで、夢のスケールも大きくなりましたね。 カンボジアは開発途上で、まだまだ環境への意識が低いのが実状です。日本の灌漑のモデルをカンボジアに伝えるだけでなく、日本並みに高い環境配慮の意識についてカンボジアの次世代を担う若者たちに伝えていくことが僕の使命だと思っています。

プロフィール

Try SOPHAL From Cambodia

カンボジア・プノンペン出身。カンボジア工科大学の5年次に在籍中。水資源工学や灌漑の分野が専門。現在23歳。STEPプログラムを利用して、日本に1年間留学している。

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