IKUSHIMA GROUP

音響誘起電磁法(ASEM法):超音波による磁気イメージング

超音波による弾性変調は,固体の格子歪みを通して磁気分極(磁化)に時間変調を与えることができます.したがって,超音波照射すると,磁気双極子放射により超音波と同一周波数の電磁波(通常RF波-マイクロ波)が発生します.私たちは,超音波で誘起される電磁信号の計測方法を音響誘起電磁法(ASEM法:Acoustically Stimulated ElectroMagnetic method)と呼んでいます.ASEM法は,超音波で磁化を時間変調し,その磁気情報を電波の形で外部発信させる方法と見なすことができます.超音波は電波よりも同一周波数で波長がを5桁も短いため(電波の波長:30m,水中音波の波長:150μm @10 MHz),電波計測に比べて高い空間分解能の画像化が可能です.

最近では,超音波スキャンニングによって、磁気2次元イメージングや磁気断層像および磁気ヒステリシス曲線の取得が可能になっています(図1).磁気ヒステリシス曲線は個々の磁性体固有の振る舞いをもっており,物質を特定する指紋情報になります.また,一般に磁気特性は応力に敏感であるため,残留応力評価のポテンシャルをもっています.私たちは超音波測定と磁気測定の利点を併せもつ音響誘起電磁法を活用し,社会の安心・安全を支える非破壊検査に貢献しようとしています.

ASEM_magnetic

図1 ASEM法による磁気計測


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