活動報告

2013年12月9‐10日:トキを中心とした生物多様性保全と農業~佐渡島訪問

FOLENS学生グループ「環境保護への具体的アプローチ」
Hanhan, Mizuki, Rahman, Yoshie

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佐渡トキ保護センター「野生復帰ステーション」見学

    「順化ケージ」を見学する学生達

生物多様性保全型の水田を見学し説明を受ける

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田園風景を飛んでいる野生復帰したトキ

小倉千枚田。自然保護と観光地の観点から再建された。


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岩首の棚田. 山並み、棚田、日本海という美しい風景がエコツーリズムを実現させている。 養老の滝。佐渡の人々にとって文化的・歴史的に大切な場所でもある。

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実習の参加者とガイドの中島さん(一番右)

12月9日~10日にかけて、佐渡島を訪問しました。
佐渡島は平成23年にGIAHS―Globally Important Agricultural Heritage Systemsに登録され、トキを中心として生物多様性を守り、伝統的な農業や文化を維持する地域として認められました。私たちのグループではこのことに関心を抱き、佐渡島、トキ、生物多様性、伝統的な農業についてなどを調べ、実習当日には実際にその現場を直接訪れてNPOや地域のガイドの方々にお話をうかがうことができました。

訪れた場所
野生復帰ステーション
屋内で環境省の方の説明をうかがった後、トキが放鳥されるまでに餌の獲り方などを学ぶ施設を見学しました。
単なる飼育・繁殖とは異なる「野生復帰」ということの難しさについて考えさせられました。
野生復帰ステーションからの道中、幸運にも野生復帰を果たしたトキ6羽と遭遇できました。飛んでいる姿がまさに「朱鷺色」をしていて、田園風景と共に目に焼きつきました。

生物多様性保全型の水田
トキを中心とした生態系の生物多様性に配慮し、水田には魚道やため池があり、冬場も水を張るなどの取り組みがされていました。

小倉千枚田
初めて「棚田」を目にし、斜面から段になって続く水田に驚きました。
見た目はきれいでしたが実際に登ってみると、登り降りをしながら農作業をする苦労を想像せざるを得ませんでした。

岩首の棚田
最初に案内していただいた「養老の滝」は空気がとてもおいしく、ここの水が米作りにとって重要な資源であるというガイドの方のお話にも納得でした。
大規模に連なっている棚田では、200年前から続いているという田園とそのむこうに見える海という景色を見ることができました。

得られたもの
今回の実習でいくつかの場所を訪れてお話を聞くことで、それまで机上の知識だった環境の問題について現場の人々の生の声に触れることや自分自身の目でその場所を見るということができました。
佐渡のトキと農業に関する取組みは、行政によるトキ自体の保護と野生復帰、米農家の方々によるトキと共に歩む農業のための努力、佐渡の伝統的農業を、生物多様性を維持し未来へ受け継ぐべき文化として発信すること(岩首の棚田のガイドの方は数日後に東京で開催されるエコプロダクツに出展されたそうです)…と、様々な角度から相互に繋がっているというのが実感としてよく分かりました。
農工大へと戻ってきた私たちがすべきことは、佐渡の経験をもとに視野を広げ、他の地域での問題と共に考え、自分の中で生かしてゆくことではないかと思います。 現地の方々、先生方、参加者の方々にお世話になり、今回の実習という貴重な機会を実現できたことにグループのメンバー一同感謝しております。


プログラム
前日の夜 (12月8日)
23:00  JR新宿駅の南口に集合
23:59  夜行バスで新宿を出発
1日目(12月9日)
5:45  新潟駅に到着
7:55  新潟港からジェットフォイルに乗船
9:00  佐渡島の両津港に到着し、ガイドの中島さんと合流
10:00  トキ保護センターの「野生復帰ステーション」を訪問
11:30  生物多様性保全型の水田を見学
12:30  地元のスーパーマーケットで買い物の後、昼食
14:30  小倉千枚田を訪問
16:00  岩首の棚田を訪問
18:00  宿泊先(トキ交流会館)に到着
18:30 新穂温泉に行き、夕食
20:00 一日の経験をふりかえるワークショップ
2日目(12月10日)
7:00 朝食
8:40 トキ交流会館を出発
9:15 両津港からフェリーに乗船
11:45 新潟港に到着
12:15 解散
※当初は2日目に生椿・清水平地区やトキの森公園への訪問を予定していたが、当日、天候悪化によりフェリー欠航が予想されたため、中止となった。

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 12月9-10日に佐渡島を訪問しました。これは、トキの野生復帰と保護を主要なテーマとして、学生有志が主体となって企画した野外実習(FOLENSセミナー)でした。活動は、トキの野生復帰のための環境省施設の見学と島内における各種の取り組みを見学することがメインでした。しかし、棚田や伝統的農法の維持の苦労、輸入個体をもとにした野生復帰に関する賛否、それらによる生物多様性保全の在り方、エコツーリズムとの共存など、視点を広げて学ぶ機会となりました。これら訪問の途中、実際に野生のトキを見ることができました。2日目は天候悪化の影響で、予定を繰り上げ朝から新潟に戻ることになりましたが、充実したセミナーでした。最後に、現地でお世話になった新潟NPO協会の皆様、宿泊したトキ交流会館にお礼申し上げます。(尾崎)

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