活動報告
藤枝農山村実習:持続的な環境と経営を目指す有機無農薬小規模農業への挑戦
参加学生レポート:Bessy Kho Sze Ee, Ei Ei Theint, Govinda Narayan Timilsina, Tungsomkid Jameekorn, Pham Ahn Thi Quynh, Roeurn Siranet, Pheng Sokline
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東京農工大学農学府国際環境農学専攻が主催した2日間(2010年6月12日~13日)の実習にFOLENSからも7名の学生が参加しました。実習地となった静岡県中部藤枝市では、山間に狭い谷底氾濫原が形成されている典型的な日本の農山村地形景観を見ることが出来ます。実習は、お茶・米・鶏などの有機無農薬農業を体験し学ぶこと、そうして育てられた作物を味わうこと、そしてそれらの体験に基づいて地元農家や環境に関心のある都市住民と日本の農業と環境について議論すること、というプログラムで構成されました。
この地で先駆的に有機無農薬お茶栽培を始め、経営を軌道に載せている農家の方からお茶畑を案内頂き、有機無農薬栽培における土づくりの重要性を説明頂きました。土壌微生物が有機物を分解し、植物が吸収できる栄養分を生み出します。害虫の大発生も特にないそうです。有機無農薬農地では生態的な防除効果が期待できます。また、農作物市場における大企業の強い影響力について説明がありました。これには、ペットボトル入りのお茶をますます飲むようになっているという近年の消費者動向も関係しています。有機無農薬農業に対する誤解についてもお話がありました。有機無農薬農業は手間が掛かり生産経費が高い、という認識は状況によっては必ずしも正確ではなく、従って有機無農薬農家が不合理に高価な価格で販売していることもないそうです(中間業者や小売業者が時として価格を吊り上げていることがあるようです)。留学生の一部の関心は特に有機無農薬農業の生産コストに向けられていましたが、現場での話には新鮮な驚きがあったようです。最後のグループ討議は、実習での体験を咀嚼する良い機会になったと思われます。各グループは、地元農家、環境に関心のある都市住民(初心者から専門家まで)、日本人学生、留学生という多様な背景の人々で構成され、この多様さが議論を充実させたことは間違いありません。
今回の実習からは、日本における環境面・経営面で持続的な農業に関しての3つのコンセプトが浮かび上がったように思われました。小規模、消費者パワー(意識)、農地訪問、です。バーベキューで食べたイノシシ肉や有機無農薬野菜の味、そして有機無農薬のお茶のあの素晴らしい香りと一緒に、これらのコンセプトが思い返されればと思っています。(2010.6.22. TF)