活動報告
FOLENS室主催海外フィールド実習:ベトナム・カントー大学、バックマー国立公園、フエ農林大学「メコンデルタの自然環境とそれらへの人為インパクト、持続的共存への模索」
FOLENSの海外フィールド実習は、前述した自分の研究分野にフォーカスを置く実習タイプの他に、FOLENS室とFOLENSの海外教育研究拠点
(E&Rベース)とが協力して実施し、複数の専門分野をもつ参加者が共に学ぶもの(FOLENSオフィス主催型と呼んでいます)があます。後者は
2012年は、ベトナム・カントー大学を主として、バックマー国立公園、フエ農林大学で9月3日から16日(帰国)の日程で行われました。本実習では、
カントー大学環境資源学部がFOLENSプログラムで実施している都市河川とメコン河の定点水質観測の実績を基にして、アジアの大河川メコン川
を主体とするメコンデルタにおける環境条件(雨季の洪水、水路ネットワーク、国際河川、稲作…)と人口増加や都市化に伴う人為インパクト、持続型
社会への模索を共通軸としました。
参加者は、学生が農工大から計8名とカントー大から10名、教員が農工大から4名とカントー大から7名でした。
農工大学生8名の中には、インターンシップ活動前にこちらの実習に参加したり、長く滞在してさらに研究を続けたりしたFOLENS学生、FOLENSに
所属しないものの別枠で同行した学生も含まれます。これにより、農工大・カントー大双方からの参加者の専門分野が環境微生物学、獣医学、水文
学、環境汚染化学など、視点の多様性が増し、前述の共通軸に対して各自の切り口から野外調査、測定、講義受講をしました。カントー大最後の日
となった9月12日は、午後いっぱいをかけて両大学の学生が活動内容の総括と論点の整理を行い、カントー大のBe教授より「メコンデルタの水環境
問題を考えるには、量的議論に加えて(試料採取、見学など現地調査の)考察のタイミングに関する検討が重要」との示唆をいただきました。
何よりも、今回の経験が、参加した方にとって長い視点で社会や自然、環境問題への考え方を養うものとなったことが期待されますし、修士・博士論文
の内容を豊かにするものになればと願います。そして、本実習が、カントー大学やフエ農林大学と農工大の協力関係を発展させたものであったことも
願っています。(HO)