主な研究論文
(思い出を添えて。) updatad on 4/3/2017    【論文一覧はこちら】


土壌の有害元素に関する研究(有害元素・不溶化・水田・イネ)

Takeuchi, S., Hashimoto, Y., Yamaguchi, N., Toyota, K. 2016. Chemical speciation and enzymatic impact of silver in antimicrobial fabric buried in soil. Journal of Hazardous Materials. 317:602-607.
タオルや洗剤など抗菌効果を付加した製品が,1000点以上市販されているといわれています.これらの製品の多くは,銀のもつ殺菌作用を利用しています.これらの銀について,そのまま廃棄されれば環境中に放出されることになりますが,銀の環境中の挙動についてはほとんど研究がありませんでした.この研究では,靴下に含まれる銀の化学形態や溶解性,土壌の微生物に対する毒性を評価しました.靴下の銀は,主に単体の銀および硫化銀として含まれていることを明らかにしました.この靴下が土壌に廃棄された想定で実験をしたところ,土壌中に埋設されてもこれらの銀の化学形態はほとんど変化しないことが分かりました.長期的な銀の溶解性や毒性については,長期的な検証実験が必要ですが,銀を含む抗菌製品が普及するにつれて,環境中の銀濃度が上昇することは不可避といえます.
論文へのリンク

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Furuya, M., Hashimoto, Y., Yamaguchi, N. 2016. Time-Course Changes in Speciation and Solubility of Cadmium in Reduced and Oxidized Paddy Soils. Soil Science Society of America Journal. 80:870-877.
水田の土壌を湛水から排水する一連の水分状態の変化の過程で,カドミウムの溶解性と化学形態の変化を追跡した研究です.土壌の酸化還元電位が徐々に上昇し,一定の値に達すると,カドミウムの溶解性が急激に上昇し,それが硫化カドミウムの酸化溶解に起因することが明らかになりました.実験の計画は学生の発案によるものです.これまでの研究論文の中でも新規性が高く,放射光分析を土壌の元素分析にうまく活用できた研究です.論文へのリンク
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Hashimoto, Y., Furuya, M., Yamaguchi, N., and Makino, T. 2016. Zerovalent iron with high sulfur content enhances the formaiton of cadmium sulfide in reduced paddy soils. Soil Science Society of America Journal. 80:55-63.
カドミウム汚染水田の対策技術として,鉄粉(ゼロ価鉄)を用いて土壌のカドミウムの溶解性を低下させるという研究です.実験はSPring-8のマイクロビームを用いて鉄粉表面のカドミウムの局所分布と化学形態を分析しました.論文へのリンク

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古屋光啓橋本洋平,山口紀子,牧野知之. 2015. 化学状態解析を基盤とする日本における水田土壌カドミウム研究の変遷(1970〜2015年)日本土壌肥料学雑誌,86:139-146.
日本の水田土壌のカドミウムの研究の歴史を網羅した論文です.筆頭著者は修士学生です.印刷されてから間もなく,ある著名な研究者から「この重要な分野についての研究状況が非常に良く書けていて、大変参考になりました。」とのお褒めの言葉を頂きました.論文へのリンク

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Hashimoto, Y., and Yamaguchi, N. 2013. Chemical speciation of cadmium and sulfur K-edge XANES spectroscopy in flooded paddy soils amended with zerovalent iron. Soil Science Society of America Journal. 77:1189-1198.
カドミウム汚染水田の対策技術として,鉄粉(ゼロ価鉄)を用いて土壌のカドミウムの溶解性を低下させるという研究です.カドミウムの溶解性を低下させる硫化カドミウムの生成は,硫黄の化学状態にも関係することが分かりました(科研費基盤B分担の成果).論文へのリンク

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Hashimoto, Y., Takaoka, M., and Shiota, K. 2011. Enhanced transformation of lead speciation in rhizosphere soils using phosphorus amendments and phytostabilization: XAFS spectroscopy investigation. Journal of Environmental Quality. 40:696-703.

放射光X線分析によって,根圏土壌での鉛の化学形態がどのように変化して不溶化されるのかを明らかにしました.植物の種類によって,根圏土壌での鉛の溶解性と化学形態が著しく異なることに驚きました.論文へのリンク

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Hashimoto, Y., Yamaguchi, N., Takaoka, M., and Shiota, K. 2011. EXAFS speciation and phytoavailability of Pb in a contaminated soil amended with compost and gypsum. Science of the Total Environment. 409:1001-1007.
汚染土壌を湛水して還元状態にした不溶化処理によって,鉛の溶解性,化学形態ならびに植物可給性を評価しました.この研究で,酸化還元電位の測定がとてもむずかしく苦労しました.論文へのリンク

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Hashimoto, Y., and Takaoka, M. 2011. Transformation of soil Pb species by plant growth and phosphorus amendment: phytoremediation and metal immobilization technologies. SPring-8 Research Frontiers 2010. 124-125.
SPring-8が毎年発行している雑誌に,私の土壌有害金属の研究成果が選ばれて掲載されました.とても名誉なことで,共同研究者の高岡先生,塩田氏(京都大)と,推薦していただいた方に感謝しています.論文へのリンク

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Hashimoto, Y., Matsufuru, H., Takaoka, M., Tanida, H., and Sato, T. 2009. Impacts of chemical amendment and plant growth on Pb speciation and enzyme activities in a shooting range soil: an X-ray absorption fine structure (XAFS) investigation. Journal of Environmental Quality. 38:1420-1428.

ファイトレメディエーションを適用した汚染土壌中で,鉛の化学形態がどのように変化するのかを放射光X線で分析しました.土壌生態系の修復も評価するために,土壌酵素も分析しました.研究成果は,いくつかの海外の学会HPで紹介されていたことを後になって知りました.
論文へのリンク

>> 米国土壌学会のサイト
>> SpectroscopyNOW.com

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Hashimoto, Y., Takaoka, M., Oshita, K., and Tanida, H. 2009. Incomplete transformations of Pb to pyromorphite by phosphate-induced immobilization investigated by X-ray absorption fine structure (XAFS) spectroscopy. Chemosphere. 76:616-622.
土壌中の鉛を不溶化させることを目的として,ある射撃場の汚染土壌にリンを含む資材を添加し,溶解性の低い鉛-リン化合物を生成させる方法を研究しました.鉛-リン化合物の生成は,土壌中の鉛の30%程度であることが分かりました.論文へのリンク

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土壌や堆肥のリンに関する研究


Yamamoto, K, and Hashimoto, Y. 2017. Chemical Species of Phosphorus and Zinc in Water-Dispersible Colloids from Swine Manure Compost. Journal of Environmental Quality 46, 461-465.
豚の飼料には生育の向上等を目的としてリンや亜鉛が添加されます.そのため,豚ぷんやその堆肥には,リンや亜鉛が蓄積しています.これらの元素は,豚ぷんに含まれている水分散性のコロイド粒子に吸着して,土壌や水系環境を移動するといわれています.私たちはこの水分散性コロイドに着目して,リンと亜鉛がどれくらい濃集しているのかや,これらがどのような化学状態で存在しているのかについて,放射光を用いたX線分析やNMR法によって明らかにしました.室員の山本が修士課程在籍中に執筆して受理されました.論文はこちら(Open Accessなので無料で閲覧できます)

Kobayashi, K., Takamoto, A., Hashimoto, Y., 2016. A combination method of hydrofluoric acid, oxalate and NaOH-EDTA extractions to determine phosphorus species in soil by 31P-NMR spectroscopy. Soil Use and Management 32, 659-661.
核磁気共鳴法(NMR)を用いて黒ボク土に含まれるリンの化学形態を明らかにしました.日本の黒ボク土のリンの化学形態について,国際学術誌に掲載された初めての論文です.室員の小林が修士課程2年在籍中に執筆しました.

Hashimoto, Y., Takamoto, A., Kikkawa, R., Murakami, K., and Yamaguchi, N. 2014. Formations of hydroxyapatite and inositol hexakisphosphate in poultry litter during the composting period: Sequential fractionation, P K-edge XANES and solution 31P-NMR investigations. Environmental Science and Technology. 48:5486-5492.
逐次抽出法・NMR法・XANES法を用いて,発酵過程の堆肥中のリンの化学状態の変化を詳細に分析したところ堆肥化の過程でリンが難溶化することが明らかになりました.ES&Tの査読は大変でした(^_^;).論文へのリンク


鶏ふんの堆肥化過程における
リン難溶化のメカニズム
Hashimoto, Y., and Watanabe, Y. 2014. Combined applications of chemical fractionation, solution 31P-NMR and P K-edge XANES to determine phosphorus speciation in soils formed on serpentine landscapes. Geoderma. 230: 143-150.
伊勢志摩国立公園の朝熊山に分布する暗赤色土(蛇紋岩質土壌)のリンについての研究です.暗赤色土は日本で1%しか存在しない珍しい土壌です.蛇紋岩土壌地帯におけるリンのサイクルは,酸化鉄鉱物との吸着態やフィチン態といった生物可給性の低い形態に依存していることが示唆されました.論文へのリンク

三重県朝熊山の蛇紋岩地帯に生成する暗赤色土の調査このあと,土壌のモノリスも作成↓


Takamoto, A., and Hashimoto, Y. 2014. Assessment of Hedley's Sequential Extraction Method for Phosphorus Forms in Biosolids Using P K-edge X-ray Absorption Near-edge Structure Spectroscopy. Chemistry Letters. 43:1696-1697.
土壌や堆肥に存在しているリンの溶解性や化学種は,Hedleyによって提案された選択溶解法が一般に用いられています.この研究では,Hedley法によって区分される汚泥中のリンの化学種についてXRDとXANES法を用いて検証しました.筆頭著者は修士学生です.論文へのリンク

Hashimoto, Y.
, Kang, J., Matsuyama, N., and Saigusa, M. 2012. Path analysis of phosphorus retention capacity in allophanic and non-allophanic Andisols. Soil Science Society of America Journal. 76:441-448

リンに関する初めての論文で,共著者の松山氏(弘前大)の博士論文のデータを新たに解析することによってまとめあげました.Path Analysisという統計解析を用いて,日本671地点の黒ぼく土のリン吸着が,土壌のどの因子に最も影響を受けているかを明らかにした.共著者のKangは,私の博士課程時の友人です.論文へのリンク

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国際共同研究(韓国Kangwon National UniversityのOk教授)
Ahmad, M., Lee, S.S., Lim, J.E., Lee, S.E., Cho, J.S., Moon, D.H., Hashimoto, Y., and Ok, Y.S. 2014. Speciation and phytoavailability of lead and antimony in a small arms range soil amended with mussel shell, cow bone and biochar: EXAFS spectroscopy and chemical extractions. Chemosphere. 95:433-441.
韓国の軍事基地の土壌に含まれる有害元素の鉛とアンチモンについて,バイオ炭などの資材を用いて不溶化して修復するという研究です.放射光X線分析と論文の推敲・編集を担当.

Ahmad, M., Hashimoto, Y., Moon, D.H., Ok, Y.S. 2012. Immobilization of lead in a Korean military shooting range soil using eggshell waste: Integrated mechanistic approaches. Journal of Hazardous Material. 209/210:392-401.

これまで射撃場汚染土壌の研究を続けてきた縁で,韓国の射撃場汚染の修復についての論文を手伝いました.放射光X線分析と論文の推敲・編集を担当.

Ok, Y.S., Usman, A.R.A., Lee, S.S., Abd El-Azeem, S.A.M., Choi, B.S., Hashimoto, Y., and Yang, J.E. 2011 Effects of rapeseed residue on lead and cadmium availability and uptake by rice plants in heavy metal contaminated paddy soil. Chemosphere. 85:677-682.
鉛とカドミウム汚染水田の不溶化処理に関する研究です.



獲得した競争的研究費(感謝してここに記します)


文科省・環境省・農水省の研究費
  • 環境省 環境研究総合推進費・機器分析と溶出特性化試験を組合せた自然・人為由来汚染土壌の判定法の開発(2016-2018年,代表)
  • 基盤研究(B)富栄養化精密予測に向けた土壌コロイド粒子に存在するリンの化学形態と生物利用の連関(2015-2018年,代表)
  • 基盤研究(C)有機栽培土壌における銅・亜鉛の過剰蓄積と抗生物質耐性菌の食料・環境影響(2015-2017年,代表)
  • 挑戦的萌芽研究 原子レベルの化学状態解析に基づく(ナノ)タングステンの土壌中での挙動・毒性解明(2014-2016年,代表)
  • 基盤研究(B)土壌圏の有機物分解による窒素・炭素循環と水分・溶質・ガス移動の予測 (2014-2016,分担)
  • 挑戦的萌芽研究 土壌リンの存在形態の再考:土壌生成因子,団粒構造,炭素動態との連関(2014-2015年,分担)
  • 若手研究(A)不溶化処理の普及を目指した廃棄物資材の重金属不溶化機構の解明と生物影響評価 (2011-2013年,代表)
  • 挑戦的萌芽研究 ナノ銀粒子の原子レベルの局所構造解析に基づく植物・小動物への移行特性の本質的理解(2012−2013年,代表)
  • 環境省循環型社会形成推進科学研究費補助金・微生物酵素活性の利用による有機性廃棄物からのリン再資源化に関する研究(2011-2012年,代表)
  • 基盤研究(C)土壌中でエステル硫酸はアルミニウム腐植複合体に取り込まれるのか? (2012-2014年,分担)
  • 基盤研究(B)水田土壌の微視的な酸化還元スポットの分布とカドミウム形態との関係(2010-2014年,分担)
  • 基盤研究(B)土壌圏における水分・窒素・炭素統合循環モデルの構築(2011-2013年,分担)
  • 若手研究(B)植物根圏の重金属析出機構の解明による植生修復が可能な不溶化技術の開発(2009-2010年,代表)
  • 基盤研究(C)土壌有機物の分子構造解析を導入した保全耕うん圃場の炭素隔離機能の解明(2009-2011年,分担)
  • 若手研究(B)植物根の生理作用に着目した鉛不溶化反応の促進と微生物生態系の修復(2007-2008年,代表)
  • 基盤研究(B)植物根の生理特性を考慮した土壌重金属の移流分散モデルの構築(2007-2009年,分担)

財団の研究費
  • 公益財団法人鉄鋼環境基金,鉄鋼スラグを利用した水田土壌のカドミウムとヒ素の同時不溶化(2014,代表)
  • 財団法人日本生命財団 環境問題研究助成,堆肥連用土壌におけるリンの蓄積と生物利用性の解明−リン資源の保全に向けて(2014,代表)
  • 財団法人河川環境管理財団 水田土壌リンの化学形態分析による流域の富栄養化機構の解明(2011年,代表)
  • 財団法人東海産業技術振興財団 助成研究 東海地域の産業廃棄物の再資源化による緑化基盤材の開発と重金属汚染土壌の改良材としての実用化(2007-2008年,代表)
  • 財団法人日本生命財団 環境問題研究助成 水産資源の保護を目的としたダム群と生元素動態の関係解明(2008年,代表)
  • 財団法人前田記念工学振興財団 産業廃棄物の再資源化による水酸アパタイトの合成と重金属汚染土壌の緑化基盤剤への応用(2007年,代表)
  • 財団法人ダム水源地環境整備センターWEC応用生態研究助成金 湛水・運用開始期にある徳山ダムの微細有機物による河川生態影響評価(2007-2009年,分担)


その他の研究・学会活動

以下の論文誌の査読をしたことがあります(毎年15-20件程度)
Soil Science Society of America Journal, Journal of Environmental Quality, Geoderma, Chemosphere, Science of the Total Environment, Soil Science and Plant Nutrition, Environmental Science and Technology, 土壌肥料学雑誌,環境化学,土の物理性など(めったに断らないのでかなり依頼がきます...)


学会や環境省の委員
環境省自然由来等基準不適合土壌の現場管理・活用の推進に関する検討会 委員(2016-)
日本学術振興会第111委員会学界 委員(2016-)
環境省自然由来汚染土壌等の活用に関する検討会 委員(2015-)
環境省土壌測定技術等に関する検討会 委員(2015-)
環境省農用地未規制物質対策調査業務検討会 委員(2015-2018)
日本土壌肥料学会第二部門 副部門長(2014-2017)
Soil Sciencen and Plant Nutrition 編集委員(2015-)
日本土壌物理学会 編集委員(2013-2016)
日本土壌肥料学雑誌 編集委員(2013-14)