研究内容
現在の研究プロジェクトは、次のような2つのテーマに大別されます。
1. 効率的標的タンパク質探索のための新規金ナノ粒子プローブの開発
2. 化学プローブ法を応用した抗がん活性天然物の作用機構解明
低分子-タンパク質相互作用は、細胞の生死、分化、発生など、多様な生物プロセスにおいて、重要な役割を果たしています。
低分子化合物はどの細胞経路に作用しているのか?分子レベルでどのように働くのか?その特異的な活性の構造的基盤は何か?
どのように制御できるのか?これらの疑問に対する答えを見出すことで、低分子の構造-活性相関に関する理解の深化や、医薬品開発に貢献できます。
同時に、このような研究は新しい生物学的機構の発見へつながります。
私たちの研究グループは、抗がん活性を持つ糖鎖天然物や糖脂質の作用機序を調べるために、有機合成による新しい化学プローブの開発を行っています。
特に、複雑な細胞内を効率的に探索することにより、標的タンパク質を、共有結合で捕捉し単離するための新規金ナノ粒子プローブの設計と合成に取り組んでいます。
標的タンパク質の同定は、低分子や天然物の活性発現メカニズムを理解するための不可欠な第一歩です。しかし、標的タンパク質探索は、これまで試行錯誤の繰り返しであり、ケミカルバイオロジーにおける大きな未解決課題でした。
私たちは、低分子の細胞内標的の発見を加速するために、ルーチンで使えるような一般的な方法を提供することを目指しています。