長谷川
国際競争という話題が出ましたが、学生の海外留学などはどのような状況なのでしょうか。
学長
公費や研究費、長期や短期を合わせ、年間約600名以上の学生を海外に送り出しています。昨今は、国も「トビタテ!留学JAPAN」という取り組みなど、様々な制度で留学を推進していますので、単純に数を誇るものでもないとは思います。しかし、取れる予算はしっかりと取り、学生のために活用したいと思っています。
能條
最近の新入社員は大半の人が海外経験を持っていますね。さらに、英語でのコミュニケーションに抵抗のないレベルだと、企業としても即戦力として扱え、本人も自信を持って海外で仕事ができます。
私自身は海外経験が合わせて8年間ありますが、ある程度の年齢になってからでしたので、言葉で苦労しました。やはり若い時に行くのに越したことはありません。
さらに、外国人の先生や留学生とのコミュニケーションの充実にも、非常に期待したいところです。
学長
留学生は毎年300~400人が来ています。受入人数には大きな変動はありませんが、最近はどこの大学も留学生の誘致に力を入れていますので、取り合いのような形になっています。また、これまでは中国が圧倒的に多かったのですが、今は中国が減り、ベトナムが多くなっています。ほかには、タイやインドネシアが増加し、力をつけてきている国から学びに来ているという印象があります。
長谷川
戸所さんの会社は外資系ですが、言葉の面でのご苦労はありましたか。
戸所
それはもう苦労しました。大学受験の際は、英語は共通一次だけで二次試験にはなく、もう必要ないと思っていたものですから、入社後は自分で勉強する羽目になりました。当初は海外とのやり取りはあまりなかったのですが、グローバル化の中で、ドイツの本社をはじめ海外とのコミュニケーションの機会が増えました。特に、化学の分野で海外の技術者と話をする時など、文章では専門用語を理解できるのに、会話ではうまくいかないのです。
そういう経験をしてきましたので、学部生のうちから、外国人の先生に生の英語で専門を学ぶチャンスを増やしていくことが大切だと思います。
学長
例えば、農学部で植物工場の研究を行っているのですが、農工大で開発した植物工場を中東の国に売り込むプロジェクトがあるのです。リーダーの教員もいますが、学部生もチームを組んで積極的に動いています。こういったプロジェクトや、海外に行って共同研究を行い、向こうで何かを成し遂げるという機会を、どんどん学生に与えていきたいと思っています。
能條
最近では、文部科学省や経済産業省が、そういった取り組みを応援する制度を多く展開しているようですし、農工大もそれらに積極的に応募されているようですので、大いに期待しています。
学長
そういった公募プログラムの最後のプレゼンテーションには学長が出ていかなければなりませんので、だいぶ出番が増えました。
長谷川
プログラムが増えても、実施体制が追いつかず、手を挙げられない大学もあります。学内の体制、教員・職員の意欲やチームワークは、農工大の強みだと思います。