東京農工大学 農業経済学研究室

助教  新井祥穂 Sachiho W. ARAI


私が今取り組んでいること

農業振興や農村開発は,現在もなお世界の各地で大きな意味や影響をもっています. しかし,その内実や目指すべき方向が,今日ほど厳しく問われる時代はありません. 画一的な政策が個々の地域に混乱をもたらすことも,しばしば指摘されます. しかし,それでは地域の実情に即した政策とはどのようなものか,具体的なアイデアがなければ, 従前のやり方を踏襲するか,従来の政策内容の焼き直しを推し進めることに終始しかねません.

こうした中で,現場の視点を掘り起こし,そこに冷静な学術的判断を示す研究の意義は大きく, こうした知的営みに真摯な努力を重ねていくだけの価値を,私は強く感じています.

私はこれまで,熱帯・亜熱帯地域や国内農山村を主なフィールドに,沖縄という亜熱帯島嶼地域の農業開発, 国内農村における水資源再編,インドネシアにおけるアブラヤシプランテーション農業の爆発的な拡大, などの現象を取り上げてきました.いずれも,生態環境と経済・社会環境の長期的な相互作用の連鎖を描き, その複雑なうねりの中に埋め込まれた農業の動態や,農業技術や経営の(共)進化を,フィールドワークより実証的に明らかにしました.さらにそれらを基礎に,地域農業の展望,農業資源管理や開発政策のあり方を論じてきました.

今後もこうした実証研究を積み重ねることで,地域農業システム論,地域資源論へ貢献したいと考えています. また,複雑な生態環境─経済・社会環境という現象に切り込むための方法論・フィールドワークを,理論的にも実践的にも探求し, 研究室全体として研究・調査能力向上を図りたいと思います.


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