グローバルナビゲーションを飛ばして本文へ

グローバルナビゲーションを飛ばしてローカルナビゲーションへ

グローバルナビゲーションを飛ばしてフッターナビゲーションへ


ホーム >  大学概要  >  学長・役員等 >  式辞・告辞  >  平成27年度 大学院連合農学研究科入学式


式辞・告辞

平成27年度 大学院連合農学研究科入学式


平成27年度大学院連合農学研究科入学式の式辞です。


平成27年4月10日
東京農工大学長 松永 是

  東京農工大学連合農学研究科に入学された皆さん、おめでとうございます。教職員を代表して、心よりお祝い申し上げます。また、今まで支えてこられたご家族はじめ関係各位の方々にも謹んでお慶び申し上げます。一歩一歩成長していく彼らをこれからも共に応援してくださるようお願いいたします。

  本年度の新入生は、生物生産科学専攻20名、応用生命科学専攻6名、環境資源共生科学専攻11名、農業環境工学専攻4名、農林共生社会科学専攻11名の合計52名で、この中には世界4ヵ国からの留学生16名が含まれています。この52名が、それぞれの未来のために助け合い切磋琢磨する仲間となります。研究科修了後も研究や仕事を通じて生涯の付き合いとなる人もいるでしょう。どうぞ良い影響を与え合う関係を築いていってください。

  この連合農学科への進学を選んだ皆さんは、これからより深く専門的な研究の道へと入ることになります。しかし専門性を極めるためには、逆説に聞こえるかもしれませんが、むしろ俯瞰的・大局的で多種多様な視点を持つ必要があります。他分野の知識や考え方、歴史的背景や社会的要素、国際情勢などあらゆることを知ったうえで自分の研究を発展させなければ、様々な障壁を乗り越えて真に国際社会の益となる研究を進めるグローバル・イノベーション・リーダーとなって活躍することはできないのです。そして東京農工大学は、皆さんのために環境を整備し多くのチャンスを提供できるよう常に尽力しています。産業の基幹である農学と工学の二分野に加え、その二つを併せ持つからこそ可能な融合領域にもフィールドを発展させ、『持続発展可能な社会の実現』・『循環型社会の構築』を目標とした最先端の研究やグローバル・イノベーション・リーダー育成に全力で取り組んできました。そして目標や使命のために自己を律しながら既成概念や枠組みに囚われず柔軟に新しいことに挑戦するという真の『自由』に重きを置く姿勢は、創基以来140年の長きにわたって培ってきた本学の特色であると同時に強みでもあります。その姿勢のもと、新研究院の設置や組織改革などグローバル・イノベーション推進のために様々な先進的な取り組みを実施し、進化を続けてきました。また他機関や他大学との連携、民間企業との共同研究や海外との交流も積極的に行い、常に俯瞰的視点を持ちつつ自分たちの研究・教育活動の多様性と公益性を意識して活動を進めています。そして皆さんが入学するこの連合農学研究科は、茨城大学及び宇都宮大学と大学という枠組みを超えて連携し、各々の研究の特性を活かすと同時に補いつつ、国際色豊かに更に洗練されたより有用な最前線の農学研究へと発展させるために創設されたもので、地球規模の視点から持続発展可能な循環型社会を創造する牽引力となり人類の共存と福祉にグローバルに貢献する人材を育成するのに最適な、様々な特色をもったカリキュラムとなっています。皆さんはそれらの特色を最大限に活用しながら自らを高め充実させていかなくてはなりません。人類の進化と科学技術や経済の発展に伴って起きてきた環境、資源、災害、健康など複雑に作用しあう多くの問題を解決するためには世界基準のイノベーションが必要であり、その推進力となることが我々科学技術に携わる者の使命なのです。特に農学分野は、環境・資源・食糧のいずれの側面から見ても人類の健康的な存続に最も直接的に係わる学問分野と言えます。皆さんの研究が持続発展可能な循環型社会を構築しより良い未来を創ることにつながるのだということを、あらためてしっかりと自覚していただき、明日からの新生活を充実させていただきたいと思っています。

  そして、研究者として生きていく上でもう一つ重要なのが意志の力、精神力です。科学技術は精密・厳密であることが必要です。しかも研究が順調に進むことはむしろ稀で、数多くの失敗や困難が待ち受けています。また時代や環境、社会の変化によって成果の追究は完了することがなく、もちろん妥協も許されません。日常生活では力を抜くことも大切でしょうが、科学技術研究は『ほどほど』ではできないのです。そのためにはやはり強靭な意志、熱意、そしてそれらを継続させる精神力は重要な要素となります。では、精神力はどのように養えばよいのか。答えはやはり積み重ね、鍛錬です。皆さんはこれから三年間、この大学で様々な経験をするでしょう。その一つ一つに対し、成功は成功、失敗は失敗、率直に受け入れる受け止めることによって、精神力は鍛えられていきます。こうして獲得した専門知識・技術、精神力や人間力は、この研究科を終え社会に出ても、決して失われることはありません。どのような環境でも力を発揮し、有用な人材として迎え入れられるでしょう。

  最後にもうひとつ、あたり前のようですがとても大切なことを申し添えます。今お話しした通り学術研究の道は精神力が必要であると同時に、身体的にも厳しいものになります。健康な心と体がなくては続けることができません。特に地方や海外から来られた方々は、慣れない土地でいろいろと不安なことも多いかと思います。健康に十分留意して、実り多い大学生活を送ってください。本学もさらに力強く皆さんのバックアップができるよう、あらゆる面で最大限の努力を続けてまいります。本日連合農学研究科へ入学される皆さんが今の気持ちを忘れず夢に向かって大きく成長されることを願い、また皆さんが本学の一員となることにあらためて歓迎の気持ちをお伝えして、式辞とさせていただきます。