けやき並木の向こうに

村田 実貴生 

 朝のけやき並木 現実の象徴
 排気で汚い空気を吸って、
 吸いたくないから少ししか吸わないと
 息苦しくなって余計に吸って、
 学校まで急いで歩いていく。

 でも、けやき並木というのは、
 私が通うところだけでなく、
 ずっと長い。

 遠くのけやき並木 理想の象徴
 見えないところにも人が住んでいて、
 その人もまた遠くを思っていて、
 でも、全く違うものだったりして、
 人に思いの場を与えてくれる。

 だから、人が歩くなか、私は一人思いをはせる。
 けやき並木の向こうに。


96
戻る 進む 目次 中止