女性のみなさんへ

村田 実貴生 

 私の所には概して噂というものはよしあしを問わず入らないことになっている。
 が、それでも、辛うじての情報源から男女関係のことを幾つか耳にした。その中には俗な言葉で言うと、やってしまった、という話もあった。
 噂の確かさには甚だ疑いを抱いて、不確かさの証明を身をもってやったりしている私であるから、全てをうのみにはできないが、私と噂には先ほど述べたことからも、人間とゴキブリの関係、つまり、一匹見つかれば密かに一万匹は繁殖しているような関係が成り立つから、また別の人が言った、卒業時までには学年の四分の一がそうだ、ということも十分に起っていそうなのである。

 女性はどうしてそんなに気がやさしいのだろうか、といっても、私がどう女性に迫ったとしても、そういうことにはならないから、とりあえずそこには最低でも恋という思いはあるのだろうが、その思いを相手に見せるためには、そういう手段しかないと思い、また男の方はずるくて、そう思わせようとするから、結果として、女が泣くのであろう。
 言っておくが、男というのは愛そうと思う女性に対しては手一つ触れられないという緊張感さえ持つ。そんなものはないという男がいたらば、それはせいぜい好きくらいのものであって恋ではなく、間違っても愛ではないと断言する。
 と言っても、この双輪を読む人というのは、そういう関係と無縁な文学少女か、私のようなもてない男の代表みたいな人が多いから、この文章を読んでも、焦点がずれているかもしれない。
 が、この文章の有効期限は、結婚した時まで、である。婚前交渉が当たり前みたいな世の中になっているが、性的欲求が我慢できない訳でなく、男にもてあそばれたくなければ、初夜まで処女、を自信を持って貫いてほしいと思う。実は、これは、自由が与えられているからこそ守らねばならぬ義務でもあるのだが。


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