スカートに思う

村田 実貴生 

 何年か前からのことか知らないが、スカートの短いのは今だに流行している。
 が、男である私は、そのようなスカートを見る度にしばし思う。流行とは何なのかと。

 私は、いわゆる変形服の類は着ない、その着用が認められようとも着ようとしない、つまりは流行と関わりがないと言ってもよい者である。
 そういう者から見ると、流行を追う者というのは、一人であることを恐れる弱い者にしか見えない。

 しかし、この頃はそういう者が多数を占めるようになった。
 人は何故にそんなに弱い者になってしまったのか。他者が何と言おうとも、これだけは変えられないという思い、つまり、「不可変の意」を持たなくなってしまったのであるまいか。
 そして、それは、入りたい学校に合わせた勉強しかしないというような適応型社会が生んだ悪果と言えまいか。

 私のような者が適応型社会を批判しても、そういう人間は社会には不適であるから、結果、表に出ないうちに葬られてしまう。誰もそうなりたくないからますます適応型社会が確立してしまう。
 これでよいのか。

 教師が短いスカートを禁ずるのは、規則を守る、というあまり納得されない理由からだろうが、私はこういう思いを、あのスカートに持つのである。


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