研究テーマ

本研究室では、機械学習、信号処理、画像処理、グラフデータ解析、計測インフォマティクス等の研究に取り組んでいます。

グラフ機械学習・グラフ信号処理


私たちの身の回りには、SNS、電力システム、通信システム、センサデータなど、関係性を持つデータが溢れています。これらのデータは通常の時系列データや画像データと異なり、頂点と辺からなる「グラフ」という数理構造上のデータとして表現されます。グラフ機械学習・グラフ信号処理はグラフ上のデータを効果的に解析するツールとして現在注目を集めています。

山田宏樹研究室では、グラフ上のデータ解析について基礎および応用の両面から研究を進めています。具体的には、グラフ上のデータを適切に間引くことで計算の高速化を図る手法であるグラフデータのサンプリング、データから観測できない関係性を見つけ出す手法であるグラフ学習など、さまざまなグラフデータの解析手法を開発しています。また、グラフデータ解析の知見を活用し、電力システムの安定運用の基盤技術である異常検知・状態推定やマテリアルズインフォマティクスにおけるグラフデータ解析の研究にも取り組んでいます。

コヒーレント回折イメージングにおける計測インフォマティクス


コヒーレント回折イメージング(CDI)は、レンズレスで試料の構造をナノスケールで可視化する強力な計測技術です。 CDIではコヒーレントな (高干渉性を持つ) ビームを試料に照射して回折強度パターンを計測し、位相回復計算を行うことで試料像を可視化します。 CDIの空間解像度や試料の適用範囲は、コヒーレントビームの品質と位相回復計算に大きく依存します。 現在、日本では、世界最高水準の大型放射光施設「SPring-8」や2024年度に本格稼働を開始した次世代放射光施設「NanoTerasu」において、高輝度でコヒーレントなビームが利用可能であり、CDIの空間分解能、試料の適用範囲が飛躍的に向上しています。 放射光施設やX線自由電子レーザー (XFEL)の高度化に伴い、これまで観測が難しかった有機系材料、高分子材料、生体試料などの分析や、燃料電池内部の触媒劣化過程や電池材料の充放電に伴う複雑な構造変化の「オペランド/その場観測」が、従来にない新たな科学的知見をもたらすと大きな期待が寄せられています。

本研究室では、情報科学を活用してCDIの実計測における課題を解決する手法の開発に取り組んでいます。 具体的には、ノイズに対して頑健かつ高速な位相回復手法の開発、試料の三次元再構成技術の開発、可視化した試料の「理解」へ繋げるための要素技術の開発等に取り組んでいます。