当研究室ではバイオ燃料生産の候補株として、脂質を大量に細胞内に蓄積する「珪藻」に注目しています。珪藻は、ガラスの原料であるシリカの殻で覆われている海洋光合成微生物です。珪藻の分子育種や培養プロセスの検討により、脂質生産性の向上やバイオ燃料生産時に消費する投入エネルギーの削減等に取り組んでいます。
海洋珪藻 Fistulifera solaris は細胞内に1 個の葉緑体と2個の油滴を保持しています。F. solaris は、乾燥重量あたり最大約65%の脂質を蓄積すると同時に、非常に短期間のうちに分裂するという特徴を示します。また蓄積する脂質の構成成分はディーゼル燃料に適していることから、バイオディーゼル燃料生産の候補株として期待されています。
F. solaris は、珪藻としては世界で3番目に全ゲノム解読を完了した株です。当研究室では全ゲノム情報を元に、脂質代謝機構の解明に向けたオミックス研究を行っております。これまでに、プロテオーム解析によって油滴上で特異的に発現するタンパク質の存在を明らかにしました。また脂質代謝機構の解明を目指し、脂質蓄積時の脂質組成変化について解析を行っています。