体験工房2018:体験テーマ6

6.磁石の不思議を探る:電磁誘導の利用

 物性物理学における研究対象の一つに磁性体(磁石の性質を示す物質)があります。磁石に鉄を引きつける性質(引鉄性)があることは誰もが知っていることですが、磁石の温度を上げると、この性質が失われてしまう、すなわち、磁石ではなくなってしまうのです。本実験では、この磁石の状態変化(磁気相転移)をはじめ、磁石の持つさまざまな「不思議」を体験します。また、「ファラデーの電磁誘導の法則」を利用して磁化(引鉄性の強さ)を測定することにより、磁気相転移が生じる温度を評価します。これらの体験をもとに、磁石の不思議を探ってみましょう。

以下の項目について、観察・実験・解説を行います。

1.磁性流体    
  ―磁性流体がもつ磁性と流動性を体験してみよう―     
    磁性流体に磁石を近づけたときの様子を観察します。
2.ファラデーの電磁誘導の法則    
  ―電磁誘導の法則を確かめてみよう―     
    コイルの中に磁石を落とし、発生する誘導起電力を検出します。
3.渦電流    
  ―磁石を使って渦電流の効果を実感しよう―
    磁石を、金属板でできた斜面上を滑らせたり、金属パイプの中を落としたりしたときの、
    運動の様子を観察します。
4.磁性体とは   
  4.1 磁性体の種類・・・スピン(原子磁石)の振舞いで磁性体の性質が決まる   
  4.2 磁気相転移・・・・スピンが引き起こす協力現象
  ―強磁性体の磁気相転移を観察しよう―     
    ガドリニウム(Gd)をお湯や冷水に入れて、性質の変化を調べます。
5.交流磁化率の測定
  ―ファラデーの電磁誘導の法則を用いて磁性体の磁気相転移を観察しよう―
    交流磁化率の測定装置を用いて磁性体の磁化の温度依存性を測定することにより、
    磁気相転移温度での磁性の変化を観測します。