体験工房2018:体験テーマ3

3. フリーズドライを科学する:固体、液体、気体の状態変化

 試料を乾燥する場合、通常加熱して水分を抜きます。しかし、タンパク質水溶液や血清などは温度が上ると変質したりや分解してしまいます。この場合、試料を凍らせ、それを凍結状態のままで減圧して氷を昇華させ乾燥します。ここでは、このフリーズドライの実験を行い、固体・気体・液体の状態変化について学びます。


(1) 飽和蒸気圧
器の中で液体(または固体)の部分とその蒸気の部分が共存しているとき、それぞれの部分を液相(または固相)、気相と言います。いま、図1のように水とその蒸気がつりあっている場合を考えます。このとき器内の圧力pと温度Tとの間には1つの関係式が成り立っていて、温度Tを与えるとpが決まり(pを与えられたTに対する飽和蒸気圧という)、pを与えるとTが決まります(Tを与えられたpに対する沸点という)。図2は氷−水−水蒸気の場合のpとTの関係で、Vap.、Liq.、Sol.と書いてある領域はそれぞれ気相(水蒸気)、液相(水)、固相(氷)だけが安定に存在する領域で、それらの境界の曲線は2相が共存する状態でpとTの一方が与えられると他は自然に決まります。
(2) フリーズドライ
通常加熱して水分を抜く場合は、図2の横軸に沿って、固体→液体→気体と変化させて水分を蒸発させます。
フリーズドライは図2の縦軸に添って固体→気体と変化させて水分を蒸発させます。
(3) 実験
1. 蒸発皿に水を入れ、蒸発器内の3脚の上に設置し、蒸発器内を排気し、水の様子を観察し、水溶液を減圧乾燥することができないことを確認する。
2. シリカゲルを入れた蒸発皿に液体窒素を注ぎ凍らせ、蒸発器に設置し、排気し、シリカゲルの色を観察する。
3. スポンジに食塩水をしみ込ませ、乾電池、LEDに接続された配線をスポンジに当てて、LEDが点灯することを確かめる。
   液体窒素を用いて凍らせ、乾燥させた後、LEDに接続された配線をスポンジに当てて、LEDが点灯するかどうか確かめる。