Laboratory of terahertz science and devices
東京農工大学 知能情報システム工学科 張研究室
テラヘルツ周波数帯の半導体マイクロ/ナノ構造の基礎と応用

ラヘルツ周波数帯の半導体マイクロ・ナノ構造の基礎と応用

テラヘルツ(THz)/フェムト秒(fs)領域は、固体物理のみならず、物質科学、化学、薬学、バイオ、イメージングの分野で注目されていますが、従来の半導体デバイスが最も苦手とする未開拓の周波数領域として取り残されてきた。近年の量子ナノ構造やパルスレーザ技術の進展により、次第にそのギャップが埋まりつつある。

我々は、新しいテラヘルツ技術を開発し、それを用いて半導体マイクロ・ナノ構造の材料特性を解明し、更に、マイクロ・ナノ構造を採用する新しいテラヘルツデバイスの可能性を開拓することを目指しいる。

具体的に、下記の研究テーマに取り込んでいる。

1.     MEMS・NEMS構造を用いた室温動作・高感度テラへルツボロメータの開発

2.     MEMS共振器における非線形効果の解明・新振動解析装置の開発

3. テラヘルツ波を利用して単一ナノ量子構造における電子ダイナミックスの評価

1.     MEMS・NEMS構造を用いた室温動作・高感度テラへルツボロメータの開発

環境、安全・安心、情報通信、基礎科学など広範な応用が注目されているテラヘルツ技術を広く応用するためには、室温動作する高感度・高速のテラヘルツ検出技術を開発することが非常に期待されている。特に、テラヘルツイメージング用のカメラに応用できるような集積可能な半導体非同期型検出器のニーズは極めて大きい。 光子エネルギーが非常に小さいテラヘルツ領域では、光を一旦熱に変換し、温度上昇を信号として用いるボロメータ技術が有望である。我々はGaAs、SOI(Silicon on insulator)両持ち梁MEMS共振器を用いた新規なMEMS温度センサを開発した。このMEMSセンサは、温度上昇を共振器の周波数のシフトとして検出し、極めて微弱な温度上昇(室温で約1μK)を検出することができ、その温度感度は従来の温度センサ(サーミスタ)より少なくとも1000倍も高い。本研究では、この新規なMEMSセンサと低い熱伝導率を有する材料の結合を通じ、室温で高感度・高速なテラヘルツボロメータを実現している。

 本研究の意義は、MEMSの機械的共振周波数という新しい物理量を用いて、コンパクトで高感度・高速なテラヘルツ検出用ボロメータを開発したことである。この素子は、従来のボロメータとは全く異なる原理で動作するものであり、さらにアレー化も容易であることから、従来のテラヘルツ検出器を置き換える技術として産業界からも非常に大きな期待を寄せられ、我が国発の独創的なテラヘルツ検出素子として大いに注目を集めている。機械的共振周波数という新しい物理量を用いて、コンパクトで高感度・高速なテラヘルツ検出用ボロメータの開発したことである。この素子は、従来のボロメータとは全く異なる原理で動作するものであり、さらにアレー化も容易であることから、従来のテラヘルツ検出器を置き換える技術として産業界からも非常に大きな期待を寄せられ、我が国発の独創的なテラヘルツ検出素子として大いに注目を集めている。 

MEMS ボロメータのSEM写真

真空封止されたMEMSボロメータ

MEMSボロメータのテラヘルツ検出感度

MEMSボロメータVS焦電検出器(テラヘルツイメージング)