施設園芸

栽培環境で植物をコントロールする

 
主に果樹のブルーベリーを対象に、「低カリウム果実の生産に関する研究」と「機能性成分を向上させる栽培法に関する研究」をビニルハウスや植物工場で行っています。これらの研究では、“環境を制御する”ことをキーワードとしています。
 
低カリウム果実の生産
現在、日本人の8人に1人が腎臓病だといわれています。ヒトは体内でカリウムなどの成分を吸収しますが、余剰分は腎臓によって排出されます。しかし、腎臓が弱ると排出できなくなり、対策として食事に制限がかけられます。従って、カリウムの少ない農作物を生産することで腎臓病患者の食生活が改善されるため、低カリウム農作物に関する研究を行なっています。低カリウム農作物を生産する上で困難な点として、果樹と土耕栽培が挙げられます。そこで、土の量を制限できるポット栽培に着目し、果樹の中でも低木で扱いやすいブルーベリーを用いることで果実中のカリウム含量を約50%減少させることに成功しました。しかし、その栽培法には改良が必要であり、メカニズムもわかっていないため、日々、研究を進めています。
 
機能性成分の向上
機能性成分の中でも、ブルーベリーに多く含まれるアントシアニンや抗酸化能に着目しています。アントシアニンは抗酸化能が高いことで注目されていますが、特に、ブルーベリーはアントシアニンを多く含んでいるため、目に良いとして広く知られています。このアントシアニンは青色光や低温によって増加しやすいことがわかっています。そこで、栽培環境のうち光または温度を制御することで、より機能性の高いブルーベリーの生産を目指す研究を行っています。また、青色光の補光によってブルーベリー果実中のアントシアニンを増加させることは確認できましたが、より省エネで機能性を上げることにも注目し、研究を進めています。