大学院 生物システム応用科学府 生態系型生産システム教育研究分野
農学部 地域生態システム学科 土壌生態管理学教育分野
兒山 裕貴 Yuki KOYAMA
東京都 Tokyo
東京農工大学 農学部 生物生産学科
(学部の指導教員が退官予定のため研究室を変更。
学部生の時に受けた豊田先生の授業が面白かったのと、土壌微生物を研究したかったため)
土壌病害虫の爆発的増加のリスク評価と生物防除を軸にした、総合的な土壌診断法の開発
Development of a soil diagnostic method focusing on a risk assessment in the population explosion of soil-borne pathogens and a biological control
農業現場では土壌病害と雑草を防除するために土壌くん蒸剤が広く使われている。その一方で土壌くん蒸剤は環境破壊や人体への健康被害が懸念されるため、近年、新しい防除体系への転換が求められている。すなわち、常に強力な土壌くん蒸剤に頼るのではなく、殺菌効果の穏やかなくん蒸剤を導入して強力な薬剤の使用量・回数を減らしたり、被害が甚大でない圃場では緑肥作物や輪作体系を導入したりと、防除法を圃場条件に合わせて選択することが望まれている。
本研究では、慣行的に使用されている土壌くん蒸剤クロルピクリン(クロピク)とその代替薬剤として検討されているカーバムナトリウム塩(キルパー)が土壌環境に及ぼす影響について比較調査することで、土壌環境に合わせた防除法の診断技術を開発することを目指している。具体的には、2種のくん蒸剤が持つ病害虫の殺菌効果と、土壌が本来持っている病害抑止性や静菌作用への影響を調べている。
薬剤や加圧滅菌処理による消毒を行った土壌に病原菌を接種すると消毒前の土壌と比べて爆発的に増加すること(リサージェンス)がモデル実験により報告されている(Toyota
et al., 1996 ; Itoh et al., 2000)。しかし土壌くん蒸剤がリサージェンスを引き起こすリスクについて、実際の植物体を用いた発病試験によって評価した例はほとんどない。
クロピクとキルパーの殺菌効果とリサージェンス発生リスクへの影響を調べるため、2種のくん蒸剤を使用している群馬県のこんにゃく圃場6つについて、土壌病害虫(こんにゃく根腐病(Pythium
aristosporum, Pythium myriotylum)、およびネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita))の密度変化と土壌微生物の群集構造や微生物活性の変化を追っている。また室内で病害虫を接種後に栽培試験を行ってリサージェンスの発生リスクのくん蒸剤処理土壌間の比較とその差の要因を調査している。
~病害虫の土壌診断方法の確立~
Real-time PCRを用いたレンコン腐敗病菌とレンコンネモグリセンチュウの定量
Quantification of Fusarium oxysporum f. sp. nelumbicola and nematode causing damage to lotus by Real-time PCR
DNAの分析によって、各レンコン圃場に病気や害虫被害がでるかどうかを調べる土壌診断方法の確立を目指しています。
レンコンの産地では、カビの感染でレンコンが腐敗したり、線虫の食べた痕が黒く変色したり凸凹になるという土壌病虫害が問題になっています。レンコンは白く美しい肌が好まれるので、腐敗やセンチュウ被害によって収量が落ちてしまいます。しかし、これらの被害は地下部で発生するため、栽培中に見た目では被害が起こっているのか判断できません。
そこで、栽培前の土壌中に病害虫が存在するのか、またどれだけ存在すると被害が発生するのかがわかれば、レンコンを植える前に被害を予測することができます。
具体的にはレンコン圃場の土壌を採取してDNAを抽出し、各病害虫のDNAに特異的に反応するプライマーを用いてReal-time PCRを行い、密度を調べます。その後、レンコンを収穫して被害度を調べ、どの程度の密度なら被害が発生するのか見ています。
水泳(大学の隣にプールあり)、料理(たまに研究室のラウンジで調理。。。)
プレゼンの方法、いろんな分野の話(豊田研はみんなやっていることが違う)、頑張る楽しさ
かなり好き勝手に実験をやらせて頂きました。先生が身近にいらっしゃるので相当ディスカッションができました。
面倒見の良い先生です。
サンプリングで沖縄、徳島、茨城、愛知に行きました。旅は楽しいですよ。
留学生が多いので英語をしゃべりたい人には特に良い環境だと思います。