植物のRaffinose Family Oligosaccharides生合成酵素遺伝子の機能解析

現在発展途上国における人口は増加の一途を辿っており、十分量の食料を生産することは急務です。農耕環境が整備されていない地域においても効率的に農作を行うことが求められております。一方で先進国を中心とした国々では生活習慣病が大きな問題となっており、機能性食品への関心が高まっています。


Raffinose Family Oligosaccharides(RFO)はスクロースに1つ以上のガラクトースが付加されることで作られる糖であり、植物体への蓄積により非生物的ストレス耐性の上昇や種子の発芽の促進などの働きを示します[J Biol Chem.,  LiZhang et al., 2020][Front. Plant Sci., Gangl et al., 2015] 。食品機能も認められており、腸内細菌叢の改善やⅡ型糖尿病の症状緩和などの機能が認められています [Chemico-Biological Interactions 284, Muthukumaran et al., 2018] [Food Funct., Liu et al., 2018] 。これらの特性から、先進国と発展途上国どちらにおいても有用な物質であるということが出来ます。


私共は、シロイヌナズナ由来の3種のRFO生合成遺伝子に着目しました。これらを過剰発現する植物の形質転換体を得て、RFO生合成遺伝子の機能解析に用いております。先行研究において、目的遺伝子と近縁関係にある遺伝子はRFO生合成活性に加えRFO加水分解活性も持っていることが報告されています[Plant and Cell Physiology, Peters et al., 2010] 。本研究では解析が十分ではない遺伝子の機能への知見を深め、また生合成酵素の基質特異的発現によりRFO蓄積をコントロールすることを目的とします。これにより劣悪環境での作物生産や、現在はテンサイなどから生産されているRFOの別の作物での安価に生産に繋がことを期待しております。




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