獣医生理学研究室のロゴ

〒183-0054 東京都府中市幸町3-5-8
東京農工大農学部4号館獣医生理学研究室
TEL&FAX: 042-367-5767
E-mail: nagaokak@cc.tuat.ac.jp

   研究室の概要

 東京農工大学 獣医生理学研究室は、ヒトの健康科学に寄与する基礎研究の推進を第1モットーに、そこから得られる最先端の技術や知識を利用しながら、獣医学が対象とする様々な動物に広く役立つ応用研究に挑戦しています。 研究室の基本運営姿勢は「自由」であり、各人の「自主性」を重んじるため、研究テーマは上記モットーの基、学生の希望をできるだけ取り入れるようにしています。その結果、現在、対象とする動物種は、ヒト、マウス、ラット、マーモセット、ヤギ、ウシ、ウマ、ブタ、カワウソ、フェネック、ゾウ、アカカンガルー、イルカとかなり広範囲となっています。

   沿革

初代教授

高嶺浩

 研究室の始まりは、昭和15年(1940年)に当時東京高等農林学校であった本学の前身に、高嶺浩先生が着任した年に遡ります。翌年(昭和16年)より高嶺先生が兵役のため、4年間教官不在となりますが、戦後帰還され研究室活動が再開されました。この間、学校名は東京農林専門学校に変わり、次いで昭和24年5月に学制改革により東京農工大学が設立され、現在の獣医学科獣医生理学研究室(旧家畜生理学教室)が発足しました。東京農工大学が発足した当時の大学周辺には、多くのウシが飼育されており、高嶺先生はウシを用いた研究を始められ、特にウシの頸管粘液の性状と精子の通過性に関する研究で著名な業績をあげられました。高嶺先生の研究業績は医学界でも婦人の不妊症との関連で注目され、高く評価されました。

第2代教授

笹本修二

 昭和40年には、笹本修司先生が着任されました。昭和40年頃には、農学部の周辺もかなり宅地化され飼育されている家畜数も減少し、研究材料としてウシを使用するのはもはや困難な状況になっていました。笹本先生は、実験動物(マウスとラット)を使用して雌の卵巣における卵胞発育・排卵のメカニズムといった生殖生理学の基礎的研究を進められ、その研究業績を国際学術雑誌に積極的に紹介し、本学獣医生理学研究室の名が国際的に知られることとなりました。その研究の一つが当研究室の代名詞とも言える「インヒビン」の研究です。

第3代教授

田谷一善

 昭和49年には、田谷一善先生が着任し、「インヒビン」研究の全盛期を迎えます。笹本修司教授と共に「雌と雄の性腺機能とインヒビン分泌」に関する研究を発展させ、その業績が国際的に認知されると海外の研究者との交流も増えました。さらに田谷先生は、「研究の国際化」のみならず「研究室の国際化」を進め、外国人研究者の招聘や留学生の受け入れを積極的に行いました。以来、研究室には常に外国人留学生が在籍し、日本人学生と共に日夜研究に励んでいます。インヒビンの研究と平行して、「泌乳刺激による母親の卵巣機能の抑制」「ストレスと性腺機能」「甲状腺や副腎と性腺機能」などのラットを用いた内分泌学一般に関する研究と共にゾウやウマに関する研究も精力的に進めました。

第4代教授

渡辺元

 昭和57年には、渡辺元先生が着任し、笹本、田谷両先生と共に「研究の国際化」と「研究室の国際化」を推進されました。渡辺先生は、神経内分泌学の知識と技術を研究室に導入され、「環境ホルモンが脳の性分化に与える影響」「鳥類の神経内分泌学」「野生動物をターゲットにした不妊化ワクチン開発」などの研究を展開しました。また、渡辺先生は動物介在教育に積極的に携わり、農工大の地域社会貢献のプレゼンスに大きく貢献されました。

第5代教授

永岡謙太郎

 平成23年には、永岡謙太郎が着任し、研究室の伝統である生殖生理学の基礎的研究を継承し、「哺乳類を特徴づける乳腺機能の全容解明」を最終命題として様々な研究課題を展開させています。新しい知識や分析技術を取り入れながら、疾病予防や早期診断といった応用研究も進めています。

令和4年5月には山本ゆき准教授が着任し、現在教員2名で研究室を運営しています。