マイクロチップ of Matsunaga, Tanaka, Yoshino Lab.

Microfluidic technology



遺伝子やタンパク質などの生体分子は、医療診断や微生物検出のマーカー分子として有用であることが知られています。

そのため、これらマーカー分子を用いた、現場(病院や検査機関等)での迅速な検出が求められていました。

しかし、検出に使用する装置は高価で大型なものが多く、またさまざまな分析装置(分離・検出システムなど)を用いるため、検出は研究室レベルに限られていました。

そこで近年は、半導体技術や微細加工技術を応用し、サンプルの分離システムや検出システムなどを小型のチップ上に集積したLab-on-chipに代表されるマイクロ流体デバイスの開発がさかんに行われています。

マイクロ流体デバイスを用いることで、低コスト化や解析時間の短縮が可能であることから、幅広い用途に応用可能であると期待されています。

当研究室では、この技術を利用した遺伝子解析チップの開発に注力してきました。

従来の手法では、DNAを抽出する際に用いる物質がPCRを阻害してしまうことが問題となっておりました。そこで、当研究室ではDNA抽出システムにアミノ基修飾マイクロ流路を採用することで、PCR阻害物質を用いずにDNAの吸着と脱離を行う技術を開発しました。

さらに、DNAの新しい脱離様式に基づく、アミノ基固相担体からの高効率のDNA吸着・脱離技術の開発もしました。

また、検出システムにDNAを固定化した安価で小型のフォトセンサを用いることで、更なる遺伝子解析チップの小型化と低コスト化に成功しました。

ここで培ったマイクロ流体技術を利用し、単一細胞解析技術の開発も行っております。


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Single-cell analysis




より高度な先進医療を実現するためには、単一細胞レベルで生命現象を理解することが必要であると考えられています。

しかしながら、これまでの細胞解析法は一般的に細胞集団をターゲットとする手法が多く、得られる結果は細胞集団全体の平均であり、個々の細胞の遺伝子発現量の違いや細胞の活性状態の違いなどを反映できないという問題点がありました。

単一細胞解析によく用いられる手法として、細胞アレイが挙げられます。しかし、従来の細胞アレイは細胞捕捉効率が低く、多量の細胞サンプルが必要でした。

そこで当研究室では、基板に加工した微細貫通孔へ細胞を吸引することで高効率に細胞を捕捉しアレイする技術を開発しました。

また、本技術を用いてアレイされた細胞に対し、チップ上で蛍光 in situ ハイブリダイゼーション(FISH)法を行ったところ、個々の細胞のmRNA発現量が異なることが確認されました。


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